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黒い訪問者
【熟女/人妻 官能小説】

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黒い訪問者-1

 あの男がやって来たのはちょうど一年前のことだった。暑い夏の昼下がりである。その日は土曜日で誠治はゴルフで外出。家には妻志津子と姑良枝だけだった。二人きりだと何とも重苦しい空気なのだが、幸いにして良枝を訪ねてその男がいたので志津子はのんびりできた。
「志津子さん、ちょっと志津子さん」
今日はのんびりできると思ったのに・・・。義母の声は階段の下からであった。志津子は二階の自室で洗濯物を畳んでいた。
「志津子さん、いないの?」
かん高い良枝の声だ。うるさいな。とは言うもののぐっと堪えた。
「お母様、今行きますから」
優しい声で返事した。志津子は35歳。今年で結婚して10年になる。結婚当初は優しかった義母良枝も未だに子供ができない志津子に3年ぐらい前から辛くあたるようになった。些細なことでも小言を言う。
「志津子さん、あなたにいい話なのよ」
「はい、はい。今行きますよ」
志津子は慌てて階段を降りた。6畳の客間には義母と客人であるその男が座っていた。
「どなたですか?」
「まあいいからそこに座りなさい」
「はい」
「こちらはね、私の知り合いの息子さんでお医者さんなの」
その男はちらっと志津子を見つめた。
「藤本といいます」
藤本は45歳ぐらいで、日に焼けた色黒の肌で長い茶髪を後ろに束ねていた。はっきり言って医者には見えなかった。
「母がいつもお世話になっております」
志津子はとりあえず挨拶した。志津子がペコっとお辞儀をしたとき屈んで胸元が見えると藤本はそれとなく覗きこんだ。
「実はね、藤本さんは婦人科の先生であなたに何故子供ができないのか調べてくれると言うのよ」
義母良枝はそう言って志津子に診察を進めた。
「え?今からですか?」
「そうですよ。志津子さん、何か不都合でも?」
「だってどこで?診療所へ?」
「いいえ、この部屋できるのよ。しかも無料で」
良枝は嬉しいそうに笑った。何が嬉しいのか。無料だからか?
藤本は立ち上がるとカーテンを閉めた。
「ちょっと待ってください。遠慮させてください」
「だってあなた子供できないじゃない」
志津子だって子供は欲しい。でもできない原因をすべて自分だ言われるのは少し納得できなかった。
「でもその原因は私にあると?」
「それを調べましょうってことなのよ」
もしかしたら私をこの家から追い出すための企みなのか?藤本は黙っていたが視線は志津子を見つめていた。
「絶対嫌です」
「あなた、私の言うことが聞けないの?嫁のくせに」
「嫁だからって何でも聞かなきゃいけないんですか?」
「まあまあお二人さん」
藤本は二人の間に入った。
「志津子さん、検査って言ってもすぐ済みます」
「すぐ?」
「ええ。ほんの何分かですよ」
「本当ですか?」
「はい。お母様はあなたを心配してるんです。有難いじゃないですか」
「でも」
「でも何です?」
「でしたら今度にしませんか?いきなり今からじゃ心の準備も」
「心の準備なんていりません。すぐに終りますよ」
藤本はにっこりと笑った。志津子の肉体はなかなかのものだった。何といっても大学時代はミスコンでグランプリを獲ったこともあるのだ。今だって35歳とは思えぬ肉体だ。近所でもいい女だと噂されているぐらいなのだ。その肉体を藤本は舐めるように見ている。その視線が志津子にはとても不快だった。


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