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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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俺にしなよ-2

「あれ、東堂は?」

木に囲まれた漆黒の闇に包まれた森で、主催者不在に声をあげるクラスメート達。まとめ役が居なくお互い顔を見合い顔を濁らせる。

思った以上に彼は皆から頼りにされているようだ、彼が何だか偉人に見えてきた一瞬ね。
全く、一体どうしたの言うのか。すると奥でケータイ片手を耳につけ文句を言っている男子が顔を濁らせ通話を切り。

「何か用事が出来たとかで来れないって…。」

ケータイ片手に皆へ訃報告し、案の定「えーーっ!!?」の大合唱。それから「悪いけど
お前らで代理を決めて楽しんでくれ」との伝言を申し。

頭上に黒いモヤモヤが浮かぶ者共。仕方がなく彼の言う通りにし肝試し大会は決行された

「にしても用事って何だ?」

彼をよく知る友人は、東堂は自分で決めた事に関して無責任な事はしない、と語るが。


「ほらほらぁー、君も一緒に!」
「……。」

私は今、東堂君と共に近くのゲームセンターへ居る。想いっきり泣いた後、それでも尚アスファルトへ暗い視線を置いていた私。そんな私の元に彼がやってきて。

「ねぇ!今度の日曜、空いてる?」
「え?……。」

遊びのお誘い、でもそんな気分なんかじゃない私は一度は断ったものの、家に居て落ち込んでいるのもあれだしと、電池の切れた家電のようにただ彼の思いのまま引っ張られ。

元々バンドをやっているという彼は、今プレイしているダンスゲームに夢中のようで、とてもノリノリである。人がこんなに落ち込んでいるのに何て無神経な…。

近くのイスに腰を下ろし床に視線を落とし続け、自分の華麗な舞を見ようともしない私に
ふいに苛立った彼は私に近づきこんな事を言う。

「どうしたのさ?折角の休日、楽しまないと!ホラッスマイルスマイル!」
「……。」

言葉を発しない私、ホント何を考えているんだコイツは。それでも浮かない私を見て少しの間が空いた後、不敵な笑みを浮かべ横に視線を向き。

「もしかして、下手なの?こういうの…。」
「なっ!」

急に口調を尖らせ、頭に来るような事を口にし。私もようやく反応し、眉を立て彼に視線を合わせる。すると彼は更に挑発的な言葉を申し、元気が有る無いに関わらず今は彼をギャフンと言わせたい一心で腰を一気に上げ、対戦をし。

「ヘイッヘイッ…ホォォォォッ!うらうらぁっ!舐めんじゃねぇーよぉっ!」

油を被った木材に火を灯したかの如く私は手足を思いっ切り振り回す。それを見た彼は目を開き、次に笑みを浮かべ。

一体何なの?、そう思いつつもお構いなしに体温を上昇させ。

そして完全燃焼をさせたのち画面に私のリズム力の高さを記すスコアが表示され、アホみたいに息を荒くし。

あまりの脅威に横で開いた口が閉じれないでいる彼、フフン♪参ったか!

「いやー凄いね織原サン!御見それいたしました!」

今更褒めて無駄よ。私は彼の承諾も得ずワンコインを投入し。「もう一回やるの?」と目を丸くし出すも、私は言葉も発さず黙って「もう一回付き合えっ!」という威圧を出し気持ちの良い事をもう一度プレイし。

それから私達はゲーセンを後にし、洋服売り場へ足を運び気になっていた服を試着し彼に見て貰ったり、フードコーナーで彼にたこ焼きをご馳走になったりと。お互いに体内から♪マークが放たれるように笑い合い、楽しいひと時を過ごした…。


「うーん!満月がキレイだねぇー。」
「東堂君ってホント、バンドが好きなんだねぇー。」

音楽機材売り場を、食い入るように見つめる彼が何とも印象的だった。

デパート屋上、気温が高くビールが美味しい季節にはこの場所でビアガーデンを毎年開催されていて。今はガランとしているが。

今夜はとても楽しかった、最初はノリ気でなかったのに、彼に挑発されてから気が付いたらいつものように笑って楽しく過ごしていて。

故に彼にはとても感謝している、あのまま引き篭ってたら胸が引き締めつけられ過ぎてどうなっていた事やら。

ダガ、私にはとても気になる事が存在するのもまた事実で…。

「ねぇ!今日はどうして誘ってくれたの?」
「え?…そりゃー君が元気なさそうだったから…。」
「…だからって、肝試しは?皆困ってんじゃないの?」

苦笑いを浮かべ「それは悪いと思ってる」と申し。

「仕方が無いダロ?普段明るい女の子が、あそこまで泣き崩れていたら…。」
「!?っ」

脳裏に稲妻が横切る。ふいに河川敷で泣いていた自分をイメージする。

まさか…コイツ。

「フッ。前にも言ったでしょう?あんまそういう事すんなって…。」
「…ただの友達だから、かぃ?」
「何よ、解ってんならどうして。」
「君こそ、どうして俺が肝試しを待っている彼らを放置してまで誘ったのか、検討つかないかい?」

口調が重くなる彼、顔は普段と変わらない笑い顔ダガ。どういう事?

「ただの友達ならこんな誘いはしない。」
「……。」
「君は以前俺に、ただの友達って言ったけど…。」

「!?」

壁を背につけ、彼の片手が私の横につけられ。

急に攻め寄り、顔と体を近づける…。

「東堂……君?」

「俺は……そうは思ってない。」

「え?」

私の知らない彼が居る。そして困惑する私に構わず、彼は…ゆっくりと、唇を開け…。


「好きだよ……。」

「!!」

この瞬間、私の中の世界が、一回転したような衝撃を受けた。

え…

好き……って。





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