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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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俺にしなよ-1

「それじゃ今度の日曜、あの森に全員集合ね?」
「あぁ、ビビッてチビんなよっ!?」

いつもと変わりない教室で、クラスメートに囲まれる東堂君、彼の周りが暗い夜道に暖かい光が照らし出されているお祭り会場のように見える。

どうやら今度の三連休に近くの森で「肝試し大会をやろうっ!」と皆に呼びかけ、その内容を話し合っているそうだ。

いいな彼は、悩みがなさそうで…。人気者で笑った顔以外見た事がなく、毎日楽しく幸せなんだろうなぁー。

私は昨日絆に、大好きな彼にまた会えると「伊藤サンが会えって言うから」「寂しがってる彼を勇気づける為」と自分に嘘をつき期待を膨らませ、その期待を一気に裏切られ。

それから彼と完全に会えないショックと、彼との観覧車での約束を守れなかった自分への
嫌悪感に苛まされ。

未だその事実が、強力な接着剤が体についたように頭から離れず。朝食も喉に通らず登校中にキレイな花壇やいつものオシャレなパン屋を目にしても溜息が止む事はなく。

椅子に一人寂しく腰を下ろす私をふいに目にする東堂君。

「織原…………サン。」


鋭利な刃物で何度も斬り付けられた私のハートを、情けをかけるかの如く眩いオレンジ色
を照らす夕陽。人気の無い河川敷に一人力なく腰を下ろしていた。

「うっううっ……絆ぁ。やっぱり、私、駄目だよう…。君が居ないと。」

道端で折れた花を手当てする彼、翼を怪我したスズメに、自分が大事にしてる美術画材の布を惜しみなくその動物に巻く彼、凍て付く寒さに厚く暖かい毛布で包み込むような柔らかい笑顔の彼……。そんな愛おしい彼がふいに頭へ次々と浮かび出し。

顔を真っ赤に染め、滝のように止まらない涙。

この先、どう生きていけばいいのだろう…。

いっそ私も彼と同じところへ……。

…………。

駄目だ

結局私は死ぬ事すら出来ない。

「うっ、うううう。あぁーーあっあっあぁーー。」

絶望。その二文字しか当てはまらない自分。

するとその背後で実に陽気な声を放つ一人の少年が通りすがり。

「おー!解ってるって!主催者であるこの俺が遅刻する訳ないだろっ?」

ケータイ片手に肝試しの打ち合わせをする東堂君、どうしてそんな笑っていられるんだろう…、今度は嫉妬心まで芽生えてきた。

そして話を終えてケータイを閉じ顔を上げ。ふいに小さく丸まっている私の背中を目にし
帰宅する足を止める。何よ、放っといてよ。

彼の存在に気付いていない私はお構いなしに体に溜まった悪い物を吐き出すように泣く。

「…………。」

そんな私をただひたすら、それも今までヘラヘラしてる彼からは想像もつかない程の真剣な眼差しで私を見つめる彼。




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