不感-6
「今日は休むことにしたよ。」
そう。
彼女は時計を見て、僕も時計を見た。
まだ朝の10時だった。
「じゃあ、久しぶりにデートでもしてみない?」
彼女の笑顔に、頷きを返した。
僕が向ける愛と、僕に向けられる愛は、きっと釣り合っていないのだろう。どちらの方が重くて、どちらの方が軽いのか。僕にはわからない。
本当の愛は、一生見つけられないのかも知れない。
でも、それは僕と彼女の間にあるものに、その名前をつけてやれば、きっとそれが本当の愛になるんだろう。
僕はそう思うことにした。
悪くない。
着替えて、玄関で彼女と一緒に家を出た。
「それじゃ、行こうか」
久しぶりに、僕は彼女の手を引いた。
温かい手だった。
〜End〜