嗜虐心-5
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「よーし、準備できた」
コートを貼るためのポールに佑香里はつかまっている。上体を倒し、お尻を突き出すような格好で、脚は曲げずにピンと伸ばして立っている。タツミは自分が持ってきた黒いタオルで佑香里に目隠しをし、佑香里の半ズボンを剥ぎ取った。
「ケツまで豚みたいじゃないか。水色のパンツから肉がはみ出ているぞ」
視覚を遮断された佑香里には、耳から入ってくる情報への意識が格段に強まっている。罵声が何倍にも強く感じられた。
「へへへ、このだらしない下半身をいじめてやるからな」
「はい、お願いします……ご主人様」
それにしても美しい身体である。程よい肉付きの尻からスラッと伸びる二本の脚。下半身のどこをとっても目を見張る肌の白さとキメ細かさである。こういう肌を絹肌と呼ぶのだろう。下半身の一切が同じ白さであるのは、バドミントンが室内スポーツで陽に灼けないからであろう。
その白い肢体を包んでいるパンツの水色が、ひどく不純物に見えて仕方がなかった。この女はおそらく、すべての肌を曝け出すのが最も美しいのだ。
「それじゃあ、さっき靴を舐めるときに嫌な顔をした罰をくらわせてやる」
目隠しをされた佑香里は何をされるのかが分からない。無防備に晒された下半身に何が起こるのか、頭の中で今まで会員にされてきた色々な屈辱凌辱を思い返す。もちろん、どれであっても苦しく辛いことには変わりがなかった。
「オラッ!」
バシイィイイイィ―――!
「いぎぃぁあああッ―――!」
破裂するような鋭い痛みが尻の左半分に響いた。手でぶたれたのか。いや、それだともっと痛い面積が小さいだろう。これは、おそらくラケットで尻を打たれたのだ。
「どうだ、インターハイ出場者のスマッシュスイングは」
「いっ、痛いですっ! これ、本当に痛いです!」
「当たり前だろ、オラッ!」
バシィイイイイインッ―――!
「いたあッ! 痛い、痛いですッ! 手で、手で叩いてくださいっ、お願いしますッ!」
「ああ? 奴隷の分際で、しかもお仕置きの仕方に口出しするとはな。これはさらにキツく打たないとダメだな」
「ひぅっ、ご、ごめんなさい! ラケットで、ラケットでお願いしますっ! だからこれ以上痛くしないで!」
バシイイィ―――!
ふんわりとした尻に赤い網目がついていく。
「あああッ!」
「お前は普段、こんな力でシャトルを打ってるんだぞ。シャトルの気持ちを思い知らせてやる。あと50発だ」
バッシィイイイイイイィ―――!
「ひぁああああっ!」
「自分で打たれた回数を数えろ! 50までやるぞ!」
「は、はいぃ……いーち」
バシィイイイイイィ―――!
「いたッ! にぃいいいぃー!」
バシンッ!
「さぁあぁーーん! あううぅ……」
何度も何度も、破裂音と悲鳴が繰り返された。
「そら、最後だ」
バシィイイイン―――!
「ご、ごじゅうぅ……」
50発の打擲を受けた瞬間、佑香里はへなへなとその場に座り込んでしまった。脚に力が入らなくなったようだ。真っ白だった尻が、今は真っ赤に染まっている。
「おい、何で勝手にへたれこんでるんだ!」
「あっ、ごめんなさいっ……!」
声が涙声である。目隠しで見えないが、泣いているのかもしれない。
「立てよ」
「はい……」
佑香里は少しふらついた足取りで再び立ち上がる。ポールはずっと握ったまま、またさっきのように赤くなった尻を突き出した。脚が膝のところで軽く曲がっているあたりに、痛めつけられた影響がうかがえる。