和解-7
私の愛する人はもう居ない。
あの日病院で、いやあの観覧車での出来事を最後に、彼、長谷川絆はもう私の世界から
完全に消えたのだ。
今頃あの病院で、生きる気力を失い、ひたすら死を待ち続けて居るのだろう。
実の家族にも見捨てられ。可哀想な絆。
…でも今更あの冷血夫婦を恨む気はしないし。もう会いに行こう何て思わない。
あの観覧車を最後に彼との関係は終わったのだ。
「僕が居なくなっても、君は笑っていてくれ…。」
今までにない優しい顔で、私の幸せを願っての言葉。
私は彼とアノ公園で小さい頃、偶然出会った日々から今までの彼との楽しい日々を全て
脳内からリセットする事に。彼とは最初から出会ってない、彼を思い出したり
考えたりする事はしない、決して、…そうでないと。
この時の私はまるで知らなかった。まさか彼がドナー登録をし、再び生きるチャンスを
得て、その上あれだけ冷え切っていた家族と深い愛情に包まれている事など。
「さてっ!部活に急がないと…。」
そして私は、普段と変わらない日常生活を送った。
次回、16話へ続く。