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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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和解-6

「おはよー!いずみ、母さん、父さんっ!」
「おはよう絆。」

その日から生活は一変し、曇りが消え眩しい太陽が大地をてらすような日々が始まった。
僕は元気良く皆に挨拶をし、三人もそれに答え明るく返してくれた。

「うわぁー、今日は生姜焼きかぁ、美味しそう!」
「ふふ、早く食べちゃいなさい。」
「いただきまーす♪」

いい歳こいてげんきんに手を合わせる。

「どう?しょっぱくない?」
「うん!絶妙な塩加減…。ねぇ今度オムライス作ってよ、最近食べてないから」
「そうねー、解った、やってみる!」

今までは挨拶も程ほど、食事何て家族団らんでうっとおしく早く済ませようと嫌がって
 たのに。

「あっ、いずみ、醤油取ってくれる?」
「うん、はいお兄ちゃん!」
「ありがとう。」


それから久々に家族揃って近くの温泉へ行き、父さんと浴場へ向かい。

「背中、擦るね。」
「おっ、そうかぁー。」

自分でもこんな事をするのはびっくりする。割と固い父の背中。

「おぉー、もっと上、そうそう。」
「……♪」

少し照れくさいけど擦る手を休めずに、そして。

「父さん…。」
「んー。」
「今までありがとう。」
「おー?」
「僕にいずみ、そして母さんの為に、何時も何時も…。」
「……ふっ。」
「?」
「なーに言ってんだ、まだまだこれからだろ。」
「それは…。」
「何時かお前も立派に大きくなって、家庭を築いて、母さんをラクさせてやれ。」
「!……、うんっ!」
「はっはぁ。ほれもっと強く!」

これが男の付き合いって奴か?。それからあくる日の雨。僕は傘を持っていない父の待つ
駅まで傘を持っていってあげたり。

暗く物騒な夜、バレエの習い事をしていたいずみを迎えに行ってあげたり。

「お兄ちゃんっ!?」

絆が迎えに来ると、母から電話で聞いたいずみは、その習い事のあるビルの入り口で
 他に親に迎えに行って貰ってるクラスメートを次々と見送り。

「ホントに来たんだ、びっくりだよ。」
「はは、そうかなー。」
「んもぅー、大丈夫なの?体。」
「いずみ…。」

妹が僕の体を気遣ってくれる。

「倒れたりしたら、嫌なんだからねっ!」
「……ありがとう、さぁ行こっかぁー。」

そういって暗い夜道を兄妹で歩く。

「寒くない?」
「うんっ!さっきバレエで沢山汗掻いたから。」
「へぇー、頑張ってるんだ。」
「勿論!これでも女優を目指してるの、だからこれくらいマスターしないとね。」

ほぉ、それは初耳だ。

「でも、その門は厳しいからなぁー、不安だなぁー。」
「いずみ…。大丈夫だよ、きっとなれる。テレビに出たら絶対観るから。」
「ありがとうっ!」

そして暖かい我が家を目にし、僕は大事な頼みをする。

「いずみ、絶対話しちゃ駄目だよ…。」
「何を?」
「彼女に、杏に、僕が…、ドナー登録をして生きようとしている事を。」
「えっ!?どうしてぇ?会って安心させてあげないの?」
「……兎に角、彼女に会っても話しちゃ駄目だよ、いいね?」
「………うん、分かった。」
「ありがとうっ!」

はぁ、杏と居る時と違ってまた別の温もりと幸せが…。
 僕はいずみに厳重に釘を刺した、妹はしっかりしてるからうっかり口を滑らす事は
 無いでしょう。


そして家族との幸せな時間が早くに就き、翌朝、またまた病院へ戻される事となり
 でも、今度は一人じゃない。病院入り口に僕を手厚く迎える三人の姿が。

「じゃ、何度か来るからな。」
「うん父さん、仕事で疲れてるのにゴメンね。」
「なぁーにを、大切な息子の為だ、このくらい…。」

相手を思い遣れると、息子の成長に関する父。

「何時でも待ってるからねっ!」
「うん、母さんと父さんの事、頼んだよ。」
「ふふ、オッケー♪」

いずみの顔を見ると、ふいに杏への口止めが気になってくる。

「母さん……。」
「絆…。」
「絶対、適合者を見つけて…っ!?」

話を遮り、ふいに僕を強く抱きしめる母。

「えぇ、必ず。母さんも色々調べて貴方を助けるからっ!。」
「母…さん。」
「いってらっしゃい、大好きよ…、私の可愛い子。」
「っ……。」

また涙が。僕は親愛なる家族に見送られ病院へ戻った。
 ダガそれは、死を待つのではない、生きる希望を背負って……。




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