処女寺 〔後編〕-4
鏡台があったので、メイはその前に座り、長い黒髪を梳った。櫛を動かしていると、弥生がようやく目を覚ました。
「あ、おはよう、母さん」
「……おはよう」
「ゆうべ、和尚様の部屋からここへ戻ってきた時、母さんはもう眠っていたから言えなかったけど、私……、昨日……、処女を……」
「まあ、処女奉呈を済ませたのね。……おめでとう」
「……ありがとう」
「痛かった?」
「……少し。……でも、思ったほどでは……」
「よかったわね」
微笑んだが、自分が昨夜、後ろの穴を貫通されたことは到底口に出来ない弥生だった。
「母さんは夕べ、小坊主さんたちの部屋にいたんでしょう?」
「え? ……ええ」
「何してたの?」
「……あな……、いいえ、はな、花札をやってたの」
「へええ、母さん、花札の遊び方、知ってたんだ」
「いいえ、小坊主さんたちに教えてもらってたの」
「ふうん……」
気まずくなり、弥生は「顔、洗わなくちゃ」と、そそくさと洗面所へ立った。
朝食を済ませると、メイと弥生は寺の庭などを散策していたが、夜まで暇でしょうと、住職にドライブに誘われた。今日は玉泉も法要などはなく手があいているとのことだった。作務衣を着て乗用車を運転する住職は法衣姿とは違い接しやすかった。
森林公園へ行き、山を越えて海辺に出、水族館などを見て、帰る途中で大きなショッピングモールへ立ち寄ると、そこでけっこう女性陣は時間を費やしてしまい、寺に着いたのは夕餉の準備が終わった頃だった。
この夜も小坊主たち心尽くしの晩餐を食べ終え、入浴を済ませたメイと弥生は、これから、寺の男らから性の心尽くしを饗されることになった。昨夜と同じく、メイは玉泉の居室、弥生は緋菊の間へと入っていった。
玉泉はメイの浴衣を脱がせると、自らも裸になり、まずは既に屹立している男根を娘に握らせた。
「メイさん。今宵も貴女と同衾できること、嬉しく思います。この一物も貴女に奉仕出来る喜びで、もう、こうなっております」
娘の手の中では熱いものが見事な張りを保っていた。今宵、この張りがどこまでも保たれ、自分が性愛の曼荼羅の中へ投げ込まれることになろうとは、メイは知るよしもなかった。
手始めに、玉泉はメイを座らせ、頭髪を優しく撫でた。そして、その手は、うなじ、肩、背中、腰を触れ、一足飛びにつま先に回り、足首、脛、膝、太腿と上がっていった。
触れるか触れないかの微妙なタッチで、メイの口から早くも吐息が漏れた。その口を玉泉の口が塞ぐ。昨日は住職の舌の動きが主だったが、今日は初めから双方の舌が絡み合った。それでもやはり玉泉の舌のほうが能動的で、娘の口中を自由に舞い、キスだけでメイをとろけさせた。
熱い接吻の間も、住職の手は娘の背中や腰をさすり、既にメイの乳首は隆起し始めていた。されども玉泉は乳房には触れず、腹や二の腕を撫で回すばかり。思わず娘が胸を突き出すと、ようやく相手の片手が下乳に触れた。
「あ…………」
甘い声を出し、メイが玉泉を見つめる。その瞳の色は昨夜とは違っていた。「女」の濡れ濡れとした瞳だった。それに呼応し、住職の手が娘の乳房を下から揺する。メイの気持ちも揺れて高ぶる。
「ああーーん……」
か細く、糸を引くような声。玉泉は彼女の後ろに回り、両手で円を描くようにゆっくりと胸を揉む。黒髪を掻き分け、白いうなじに舌を這わせる。メイは身をよじり、「くふ……」と可愛い声を出す。住職は興奮してくる自分を抑え、あえてやわやわと胸を揉み、ねちっこく舌を這わせた。
「う…うーーーん」
上半身をくねらすメイ。その揺れが大きくなってきた頃を見計らって、玉泉は指先で乳首をタッチした。ピクンと反応する女体。さらに触れると娘は素直に喜びを表した。ここで、乳首をつまんだり指の腹で転がすようにすると、女の感度はさらに高まるのだが、住職は敢えてそれをせず、遠く離れた脹ら脛を撫でさすり始めた。
(時間はたっぷりある。じらすことが性愛の骨法)
若い娘ならではの健やかな張りを持つ脹ら脛を、玉泉は愛おしげにさすり続けた。
いっぽう、緋菊の間では、早くも真っ裸の三人が蒲団の上で川の字になっていた。普通、川の字といえば、真ん中に子供、左右に夫婦なのだが、ここでは中央に弥生が仰臥、それを挟むように珍念と萬念が横臥していた。
「奥様、良い感触の乳房でございますねえ」
珍念が片手で右の胸を丹念に揉みながら言うと、
「奥さん、このおっぱい、好きだよ」
萬念が片手で左の胸を盛んに揺すりながら言った。小坊主らはそうしながら、もう片方の手を、早くも弥生の陰部に運んでいた。じっくり遠回りの玉泉和尚とは違い。年若い僧は簡明直截だった。だが、熟女の中には、こうして接したほうが喜ぶ者もいるようだった。現に、弥生は甘い声を漏らし、秘口が潤っていた。
「奥様、昨晩は有り難く後ろの穴を頂戴しましたが、今宵は後ろと前、両方の穴を同時に攻めさせていただきます」
珍念の言葉に弥生は半身を起こしかけた。
「両方の穴を同時に?」
「奥さん、AVなんかで見たことない?」萬念は人妻の乳首をつまみながら言った。「四つんばいの女を男たちが上下からサンドイッチ。そうして、マ○コと肛門を同時に……」
「そ、そんなこと……」
絶句する弥生。しかし、「二穴攻め」のことはどこかで聞いたことのある彼女だった。
(ああ、私、二穴攻めをされるのね……。実際に、二穴を……)
そう思うと、秘口の潤いが一層増して、自分の本性が淫らなのだと気づく弥生だった。