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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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なんて言うんですか劣等感-6

修は、強面のせいか第一印象が“怖い”と、大抵の人が口をそろえて言う。


つり上がった眉に、少しタレた鋭い目。冷たそうな薄い唇。


しかも意外と人見知りだから、初対面の人間には“そっけなくて怖い人”って思われるみたいだ。


かくいう俺もその一人。


高校に入学して仲良くなった友人が、修とも仲がよくて、そんな経由で修ともつるむようになったけど、最初は怖くて、二人でいると緊張しまくりだった。


でも一旦仲良くなれば、ユーモアがあって、友達思いで、頼りがいがあって。


こんなギャップマジックを武器にした男は、仲良くなった女の子を惚れさせてしまうのだ。


もちろん、本人はモテるためにこうしてるわけじゃない。


飾らない、自然体の人柄が男女問わず惹き付ける元来の性質なんだろう。


だから、みんな修のことを好きになるんだろうな。


彼女の石澤さんも。超美少女の元カノも。……そして、沙織も。


沙織も、実は昔、修のことが好きだった。


でも、告白して振られて、それなりに二人の間には気まずい時期もあったみたいだけど、それはもう過去の話。


沙織もそれを笑い話にできるほど、二人はいい友人で、普段はそんなの気にも留めないのに、なぜだか今日の自分はちょっとしたことで自分の自信が揺らいでくる。


そんな俺は、修が協力するって言ってくれてるのに、小さな返事しかできなかった。





「よし、んじゃ兄貴はおれが捕まえとくから」


後ろから身を乗り出してニッと笑うのは、歩仁内だ。


その小動物みたいな可愛らしい顔に、またまた自分の足元がガラガラ崩れ落ちてしまいそうな気がした。


生徒会役員をこなし、文武両道のコイツは、先生からの信頼も厚い優等生。


だからと言って、それを鼻にかけることもなく、誰とでも仲良くなれる気さくな人柄に、コイツもまた人気者なのだ。


今回のキャンプの段取りも手際よくまとめ、準備も大変なのにほとんどやってくれ、修とは違った意味で頼れる男である。


しかも、あの修ですら歩仁内に一杯食わせられることもあるから、実は裏番的な風格を兼ね揃えてるのでは、と踏んでいる。




じゃあ、俺は誇れるような長所ってあるのだろうか。


お調子者だけど、さりげなく周りをよく見ている修。細やかな気配りをできる歩仁内。


コイツらと一緒にいると、ヤキモチを妬きながらもなにもできない自分がますます情けない男に思えてきた。


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