最期の、デート-7
それから僕が企画した最期のデートは終わりを告げた。
帰宅する彼女の顔は沈みっぱなしだった、オバサンは特に理解を持って散策は
しなく。
そんなんでは僕も元気をなくす。でもこればかりは仕方が無い、逆の立場だったら間違い
なく彼女と同じ事になっていた。
キツイよね、苦しいよね。
こんな辛い想いをさせてしまって、本当にゴメンね…。
だけど、僕は信じてるよ。
最愛の人がこの世から居なくなっても、僕の大好きな明るい元気な織原杏でいてくれる事を……。
特に言葉を掛ける言葉も見つからず、僕は牢獄とも呼べる病院へ送って貰った。
オバサンは何事も無いように、普段通りに別れの言葉を掛け、杏はやはりこの時も口を
一切開かず、ただ泣きそうな顔でこちらに視線を送る。
悲しいケド、これが最善の手段なんだ。
親子の乗車する車を見届け、中へ入り。
「…これしか、方法が無いんだ…。」
そう思わず思考もだれをすると。
「そんな事は無いっ!」
「!?」
聞き慣れた細い声を耳にし、顔を上げるとそこに。
「母さん、父さん!?」
僕の両親が目の前に立っていた、その表情は真剣そのもの。
「一体、どうして…、何の。」
「貴方はまだ、生きなきゃいけないのっ!」
言葉を遮り、僕の方へ歩みより、そう叫び母。
え?
どういう事だ?
やっとの想いで積み上げてきた物が、激しい音を立てて崩れ去っていくような事実を
突きつけられる……。
次回、15話へ続く。