投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

和州道中記
【その他 官能小説】

和州道中記の最初へ 和州道中記 35 和州道中記 37 和州道中記の最後へ

和州記 -浴場ニテ欲情ス--4

唾液と愛液に塗れた一紺の口が、そのまま竜胆の口を貪った。
「舌、出してみ」
その言葉に、竜胆が赤い舌を突き出した。
一紺は突き出された舌を己の舌でひと舐めし、絡ませる。

「一紺」
竜胆が、唇を離して言った。
そして逆に一紺を組み敷くと、竜胆は彼の上に馬乗りになる。
笑みを浮かべながら、彼女は自ら男根を掴み、ゆっくりと己の濡れそぼったそこに突き刺して行く。
「あんッ!ん、ん…はぁんッ」
全て収まり、男根が見えなくなったところで竜胆が身体を揺らす。
「う、あッ」
「ぁああッ、ん、はぁ…!んくッ!気持ち…いいか…ッ?」
途端に襲うは、快楽の波。
竜胆は濡れた唇から鼻に掛かった甘い声を紡ぐ。
息を切らせながら、彼女は一紺に顔を近付けて言った。

「…こんな…淫乱な私は、嫌か?」
哀しげな、それでも妖艶な表情。一紺は首を伸ばしてその唇に口付ける。
「お前なら、全部好きや」
言って、予告もなしに下から突き上げた。
「はあ、ああんッ!もっと、もっと…突き…上げッ、ん…て…ぇッ!」
二人を襲う、甘い痺れ。
下から突き上げるのと同時に、一紺は竜胆の双丘に手をかける。
一紺の手でも余る、柔らかなそれを捏ねるように揉んで、先頭を指で摘む。
「あ、あ…あ…んぅッ、んッ」
反応しつつ、なおも腰を振り続ける竜胆。
絶頂が近くなるにつれて、声が高くなり、動きが速くなる。
快楽に溺れた虚ろな瞳で、竜胆は一紺を見つめた。
「はんッ…二人で、イキたい…ッ」
小さく言う竜胆に頷いた一紺は、ゆっくりと腰を動かした後、深く竜胆を突いた。
「ああああぁぁッ!!!」
「ん、ぅく…ッ!」
共に果てる二人。
一紺は素早く身を反転させ、竜胆からものを抜き取った。
白濁液を彼女の腹にぶち撒けて、一紺は彼女の傍らに仰向けになった。
「…ッは!…気持ちええわ」
少年っぽく笑う一紺の上に、竜胆がのし掛かる。
瞳を合わせた二人は、深く口付けを交わした。
そして唇を離す。
その直後、だ。

「……何しているんだ」
冷めたような、竜胆の言葉。
目を瞬かせた一紺は、顔を引き攣らせた。
(ま、まさか、薬が…?!)
竜胆は、裸で抱き合う自分達の姿――しかも自分が上――にはっと気付き、桜色に火照った肌をさらに紅潮させる。
「な、なななな何で此処に?!」
「此処は…男湯やで」
正直にことのなりゆきを喋ってしまおうか迷ったが、一紺は取り敢えずそれだけ言った。
今度は顔を青くさせて、竜胆は自分の秘所をおそるおそる見やる。
「な、ど…して?…お、覚えてない」
一紺は困ったように頬を掻く。
「り…」
そして、顔を俯かせて黙りこくる竜胆に何か言おうと口を開いたのだが。
「そうだ、この温泉がおかしいんだ!湯に浸かっていたら、何だか身体が熱くなって…気が付いたら、こうだ!湯に何か入っていたな?くそ、あの親父、殴ってやるッ!!」
いきなり顔を上げると、怒気を孕んだ声で竜胆は一気に捲くし立てた。
「…」
何か言い掛けた一紺であったが、彼は思わず口を噤む。
竜胆は気付いていないようだが、体勢は未だ行為の後のまま。
騎乗位でぶつぶつと文句を言う竜胆の様子に、一紺は苦笑を浮かべて心の中で呟くのだった。

(…薬のことは、黙っとこ)


和州道中記の最初へ 和州道中記 35 和州道中記 37 和州道中記の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前