10.知らずに上がった舞台-15
「あっ……、ふぁっ……!」
こんな体位で貫かれるのは初めてだった。男茎は力強く反り返りながら、腰を痙攣させるように動かしてくる。その開いた傘が悠花の潤った壁を未経験の角度で穿ってくると、脱力してソファから崩れ落ちそうになるほどに悠花の全身を快感が駆け巡った。
「おおっ……、久しぶりの生チンポ、どぉ? いっぱい、いっぱい出してあげるねぇ」
「や、中……、は……。んぁっ! 中、ダメッ……、やめて……」
喘ぎながら訴える。
「んぅん……、どおしてぇ。この前はいっぱい中出ししたじゃん……」
「だって……、こ、こんなことしてたら……」
前回も何度も膣内へ精液を注ぎ込まれたが、直後の生理で受精を免れたことを知った。だが、そんなことをしていては、いつかこの男の種が宿されるかもしれない。
村本は腰の動きを止め、悠花を支えていた手で両側の脇腹を、触れるか触れないかの絶妙のタッチで何度もなぞり上げきた。支えを失って再び肘掛から落ちそうになるのを堪えながらも、突然加えられた優しい愛撫に身を震わせる。その耳元に村本の声が聞こえてきた。
「じゃ、……外に出すから、悠花ちゃんにかけていい?」
「……っ、それは、イヤだって、……んっ、……言ってるじゃん」
体をくねらせながらも、悠花の自尊を支えているモデルとしての肢体へ精液を浴びることは、どうしても受け入れられなかった。
「じゃ、たっぷりオマンコに出す?」
避妊具無しで挿入している以上、受胎のリスクを回避できていないことは悠花も知っている。だが、あれだけの量を膣内へ浴びるのは、更にリスクを高めるとしか思えなかった。
「中は、やめて……、お願い……」
村本は脇腹をなぞっていた指を脇の下から悠花の正面へ向けてきて、見事なまでに美しい形を保っているバストの頂点で、犯される性感を充填して硬くなっている乳首へ爪を立てて抓ってきた。
「きゃぁっ!!」
仰け反って、膝に力が入らず、腰を村本の上に落としてしまった。激しい落体だったが深々と突き刺さっていた男茎は下腹部から外れることはなかった。バストを掌を広げて揉みしだいたまま、自分の体の上に落ちてきた悠花の上体を抱きしめ、鼻先に香る麗しい髪の中で先端を羞恥に真っ赤に彩らせた耳へ囁きかける。
「じゃ、かけていいよね? ……一発じゃないよぉ? 今から何発も出してあげるんだから……。出すたびに抜くから、いっぱいかけさせて?」
「んんっ……」
「……お口でしゃぶって飲むのでもいいよぉ。ああ……、イク……、悠花ちゃんっ、どうすんのぉ……」
催眠のような囁きだった。脳が溶けてしまうような悦楽に支配された悠花はもう深慮することができなかった。
「外に……、して」
迫られると、そう言うしかなかった。
「かけていいのぉ?」
「でも……」
悠花は背後の村本を振り返るように顔を横に向けて、「顔だけは……、お願い。しないで」
後ろから抱きしめながら覗き込んだ悠花の美貌は、憂愁を宿らせながら美しく輝いていた。グラビアの中で見せている涼しげな瞳が、潤んで長い睫の伏目となって、見ていると吸い込まれそうだった。顔にかけてやりたい、その願望は勿論ある。だが力が入らず身を委ねてきている悠花の気品を目の当たりにすると、まったく女に相手にされてこず、脅迫によってしかこれだけの美女を抱けない下賎な自分が、その最大の褒とも言える美貌を穢らしい体液で犯すことは赦され難い冒涜であるようにも思えた。この美しさは簒奪してはいけない。そんなことをしたら、悠花をこの手から失ってしまう思いがした。
「ああっ……、悠花ちゃん。そのキレイなお顔はしないから……、絶対しないから。俺のザーメン、受け取ってくれる?」
「……、……、絶対、かけないでね」
悠花の念押しに答える代わりに、後ろからバストを下から抱えるように、スレンダーな肢体を抱きしめながら、半開きの口で唇へ音を立ててしゃぶりつく。
「ん……! んぐっ……!」
(来ちゃう……)
唇を離さず、悠花を乗せたまま下から体を仰け反らせてくると、擦動の予感に挿し込まれっぱなしの亀頭へ夥しい愛液を噴きかけていた。
「んはっ……、ぐっ……、おおっ」
唇を密着させたまま、悠花の下腹部に向かって力強いピストンが開始される。
「んぷっ……、うっく……。うあっ! ……うぐっ」
舌を絡ませながら、体の中心を抉り犯される快感で、肘掛にパンプスを付いて立てた膝が左右に何度も戦慄いた。