輪姦の宴-5
−やがて、オーダーした料理がテーブルに次々並べられて行く。
真奈美は、どれも珍しそうにしげしげと眺めてから、一気にほお張って食べた。
「これっ、おいしい! これもっ!」
「おまえ、家ではろくなもの食わせてもらってねえな? まるで飢えた野良犬だな」
「ふん、どうせ私は調教が必要なメス犬ですっ!」
「あ、とうとう自分から言いやがった! ハハ! メス犬、おあずけ!」
「なによ! 調教終わってないから無視、無視」
酔いが回り始めた真奈美は、心のタガが外れたのか警戒心を解いて、男と楽しそうに料理を食べ、ビールや焼酎を飲み、やがてすっかり出来上がってしまった。
「ほら、しっかり歩け」
男は鬼塚と名乗った。昼間はスタジオを経営していて、モデル撮影などを行っているという。
夜はイベントの企画、運営を行い、ライブ活動の支援などをしているのだという。
鬼塚の見立てでは、真奈美はスターの素質があるそうだ。
居酒屋を出た真奈美は、危なっかしい足取りで鬼塚の腕にしがみついている。
鬼塚は、誰かとケータイで話しながら、盛り場の裏通りを奥へ奥へと進んでいく。
真奈美は、鬼塚におだてられ、すっかり気を良くした勢いで、ホールの地階にあるというショットバーで二次会をする約束をしてしまった。
そこでは若い女性は、ちょっとしたアイドル的な気分を味わえるというのだ。
「ほら、着いたぞ」
はっと我に返ると、二人は人気のない裏通りに面した、古い映画館のような建物の裏口の前に立っていた。
「ここを下りるんだ。階段を踏み外さないよう、気を付けて歩け」
「ダイジョブ、ダイジョーブ・・ それより、ほんとに、こんな人気のない、暗いとこにバーなんてあるの?」
「あるぜ、ほら。ドアが見えただろ。そこを開ければ分かるさ。」
真奈美は、学生靴をコツンコツンと鳴らし、一歩一歩ゆっくりと踏みしめながら、階段を下りて行った。
「ほら、ドアの前だ」
「静かよ・・音が聞こえない」
分厚く、重く見えるそのドアは、まるで金庫の扉ではないかと錯覚してしまう。
しかも、バーの看板も札も何も付いておらず、ただ暗がりにぼんやりと非常灯だけが光っている。
真奈美は、急に怖気づき、引き返したい衝動に駆られた・・
ガチャリ!
しかし、逃げ出す間もなく、ドアは鬼塚の手で開けられた。
すると、眩しいばかりの光がこぼれ、店の中にいる客達は一斉に振り向いた。
「みなさん、今日の主役は、現役JCの真奈美ちゃんです!」
鬼塚が大声で客たちに紹介した。
「おおーっ、まなみちゃん」
「ま・な・みー」
「かわいいー」
「紺色のミニのワンピース似合ってるよ」
「髪がきれいだ」
男ばかり十数人はいるだろうか、皆が一斉に声をかけ、真奈美を歓迎した。
「わ、は、はずかしいです・・」
「とりあえず、カウンターに座ろうか」
鬼塚は真奈美を、ほぼカウンターの中央に案内し、そこの椅子に座らせた。
「いらっしゃい、お嬢ちゃん。 ・・何になさいますか」
カウンターの向こうから、慣れた手つきでワイングラスを拭きながら、細身の紳士が近付いてきた。
「マスター、何かお勧めのカクテルでも作ってやってくれ」
すかさず鬼塚が答える。
「かしこまりました、では・・」
マスターはシェイカーを取り出すと、氷やリキュールなどを注ぎ込み、シャカシャカと手首のスナップを効かせて振り始めた。
「ふうーん、そうやって作るんだ・・」
しばらくマスターの仕草を見つめていた真奈美のすぐ傍らに、いつの間にか客の一人が近寄っていた。
「お嬢ちゃん、隣に座ってもいいかな?」
「え、あ・・」
真奈美は驚いて振り返ると、その客は既に隣の椅子に腰かけていた。
「お嬢ちゃん、かわいいね」
「あ、ありがとうございます・・」
「んー、さすがはJCだ・・艶のある髪、瑞々しい肌、ピチピチした顔、唇・・健康的な美しさがある」
「そ、そうなんですか・・」
「そーだよ、ホントだよ、オレは嘘はつかないよ。キミはとっても美しい。理想の彼女だ・・」
(この人、なんだか私にプロポーズしてるみたい・・)
男は、真奈美の鼻先数センチまで顔を近づけてきた。
改めて眺めてみると、その男の顔はアンパンの様に丸く膨れ、赤ら顔で、ニキビ面だ。プツプツと玉の汗がにじみ出している。
小さい円らな目は充血し、思いつめたように真奈美を見つめている。
口の端には泡立った涎が溜まっている。
「あ、あの、今日は一緒に飲みましょう」
真奈美は、男を刺激しないよう、冷静に振舞おうとした。
「できればオレのものに・・オレだけのモノにしたかった・・」
「お、落ち着いてください、あの・・」
「落ち着いてなんかいられないよ! だって、だって・・こんな可愛い子が・・」
「わ、私、こういうとこ初めてで・・」
「こんな可愛い子が! オレ以外の男どもに!」
「なのでその・・いろいろ教えてくださいね・・ね!」
「これから好き勝手やられるなんて!」
「え・・!」
真奈美はその言葉に驚いた。しかし、その意味を、すぐには理解が出来なかった。
「せめてオレが一番目でよかった! ホントによかった!」
男は感涙にむせびながら、真奈美の顔を両手で押さえると、そのまま一気に唇を重ねた。
ヌチュ、ムニュニュ、チュルッ・・
男は、その分厚い唇と舌で、真奈美の薄く柔らかな唇をこね回し、前歯で甘噛みし、その感触を味わい、堪能した。
ヌプチュ、チュバッ、チュルル・・
(こ、この人、なんて、せっかちなの! 舌を強引に口の中へねじ込んでくる!)