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生命の木〜少女愛者の苦悩
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絶望は望まれて-2

 その後の一週間、緑川はレナータに会うことも何故かなく、ズザンナとはそもそも日曜日にしか会わなかったから、酒以外に意識の逃げ場もなかった。自分は何をしているのかと度々思った。
 レナータとの悪徳は断ちきれない。取り返しもつかない。してしまったことが、合意の上とは言え大きすぎた。それでもレナータを何とかしてやりたい。ズザンナとは、互いの過ぎ去った密かないたずらを除けば何もまだ始まっていないけれども、世間から見ればこれも悪徳行為だ。緑川を受け入れたズザンナは、レナータとのことに女らしい嫉妬を抱かないのだろうか。惨めな男に高いところから憐れみを垂れただけだったのか。いや、自分こそ、不誠実にもぬけぬけとレナータとの関係を続けるつもりでいる。
 人間が苦手な緑川は、人からの感情に極度に今敏感になっていた。少女たちとの関係が当事者の外に漏れるのをひどく恐れた。自分のこれまでの誠意なども、全て嘘なのではなかったかと感じた。ついで、自分の人生に肯定すべき点などないと思った。
 しかし、仕事の外回り先で何かあったときには、どうしても誠意を尽くさざるを得ない自分の「小心さ」が緑川は頼もしくさえあった。頑固な者を動かすのは案外小心者なのであり、見かけと違って、その頑固者が小心者を頼っている場合も緑川はしばしば経験した。ただ、そういう付き合いはいずれ苦しいことでもあった。
 思えば、自分が傷つけられても相手には良いことを返すという態度のどこまでが小心さで、どこからが善意なのか、考えてもはっきりしない。相手を心から許しているわけでもなく、かつそれが傷つけられたくない故の態度であろうことを感じてもいたから、純粋な善行とは言えないはずだ。それでも、全く間違ったことをしているとも緑川には思えないのだった。恐らく、それがなんにせよ一種の犠牲行為だからだろう。犠牲には苦しみと断念とが伴うものだ。確かに、緑川は酒の席でも商売相手や会社の悪口を言わず、つまり陰でも仕返しをしなかった。
 しかし、少女たちの件に関しては、ただ苦しいばかりで、犠牲どころか貪る自分の姿しか見えてこなかった。ズザンナに対しても、思いの距離が近くなったことが却って緑川の依頼心を増し、会えないことが恨めしく、ズザンナに怒りを覚える日も生じてきた。自分を受け入れたズザンナは、とうに自分を受け入れてきたレナータに今や劣ってしまったのではないか。あとは所詮、レナータにしていることをズザンナにも求めるだけなのではないか。緑川は足場を失った思いに苦しみ続けた。

 土曜日、待ちかねていたレナータが来ると緑川は喜んで迎えた。そして助けを求めんばかりに固く抱きしめた。いつものように手提げを持ったレナータは、おじさん、どうしたのと緑川の腕の中で言った。君とこうして会っているのが怖いと緑川は正直に言った。あたし、おじさんしか優しくしてくれる人いないから、おじさんに嫌われたら生きていたくない、おじさんは悪いことしてないよとレナータは返し、緑川の口にキスをした。
「人に迷惑がかかるかもしれない。」
「そんなの知らない。」
レナータは手提げからワインを取り出した。
 卓袱台のもとでワインを開ける準備についた緑川の前にレナータは裸で立った。まだはっきりした頭でその白い体を緑川はつくづく眺め、美しいと思った。レナータは緑川の視線を意識しながら、それを味わっていた。いろいろな姿勢をとってみせた。それからまた緑川の口にキスをしたが、ふと後ろを向くと前かがみになり、両方の手で緑川に広げてみせた。見えるかとレナータは脚のあいだから顔を覗かせて尋ね、寄せて近づけた。子供らしいみずみずしさと女の子らしい不潔さとが調和していた。
 その姿勢のためか、力を緩めたせいか、大きく開いたそこが光の具合で奥までよく見えた。こんな子供のものを目にするのは初めてだったし、めったに見られぬそこの様子だったから、緑川は、閉じてしまわないよう気をつけつつ、鼻と口とを近づけた。
 ズザンナを嗅いだ時は、ズザンナの高貴さがそれに汚されることがないと思った。レナータの場合、これこそがレナータなのであって、しかも汚さを感じさせず、緑川にいのちの恵みであると思わせた。
 眺めているうちに、緑川にはある積極的な意志が湧いてきた。この子の保護者になってもよい、身柄を引き取っても構わないと思った。せめて母親に会って意見するか、いよいよだめなら訴訟に持ち込んでやろうと考えた。しかし、どれも自分の行為をあらわにすることだと悟った緑川は、やるせなくなって、ワインをその場で開けて飲んだ。
 レナータは緑川が何か言うまでそのままの姿勢でいるつもりだったらしく、ワインを飲む音を何度も聞きながら、動かず静かにしていた。早くも狂った緑川は、独特な興味に駆られ、レナータの息に合わせて開くつぼんだ口へ、大人の力でいきなり指を思い切り突き入れた。レナータは頭を跳ね上げ気を失った。指はそのままに、緑川は飲み続けた。そしてそのレナータを抱き起こすと、膝に乗せて抱きしめた。ぐったりと力の抜けたレナータは、まさに「お人形さん」のように愛らしかった。


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