投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

好き…だぁーい好きなんだからっ!の最初へ 好き…だぁーい好きなんだからっ! 94 好き…だぁーい好きなんだからっ! 96 好き…だぁーい好きなんだからっ!の最後へ

菫、走る-3

それは今から一週間前、丁度私がストーカー被害から解放された頃。
 菫と、家の経営の関係でオバサンを残し、父と二人で夕飯に近くのお蕎麦屋サンへ
向かった時だった。

蕎麦屋は、この時間帯は割と混んでおり、菫達の次に入ってきた客が、相席と二人の
 向かいに座り。
 その客は自分達と同じ親子らしく、そこそこ若く見える父親と自分と同年代の少年で
 何の気に無しにその少年に目をやると驚いたそうだ。

「は、隼人?貴方隼人じゃないっ!?」
「……菫?お前、菫か?」

お互い不思議そうに目を見開き指を刺し合う両者。

神無月隼人、菫とは小学校の頃に出会った想い人。
 しかし親の仕事関係でそのまま違う中学へ入り、それ以来連絡も取っていない

冴えない顔とクラスメートにからかわれている所を、隼人君が割り込み、そんな事ないだろと菫を助け。そのお礼を言いに隼人の元へ向かい、その時私が図書室に返却しへ向かう際、手にしていた野鳥図鑑の本に目をやり。

「お前も、鳥が好きなのか?」
「え、うん、時々パパとバードウォッチをしに行くの。ひょっとして君も?」

それから二人はバードフレンドとなり、焼き鳥を見て「今度の休みの日、一緒にバード
 ウォッチしに行こうぜ」「んもぅ、隼人ったらぁ」。と言う感じで徐々に仲は
 深まっていき。

次第に菫は彼に恋愛感情を抱き始めた、友達としてではなく一人の男の子として。
 ダガ向こうはそんな友達の変化に気づく様子は無く、結局そのまま卒業を迎え。

そんな彼と偶然再会した物の、あまりに突然の出来事で何を話して良いのか分からず
 「学校はどう?」「バスケ、頑張ってる?」とぎこちない会話をし。

「来週、ウチの学校でバスケの大会があるんだ。良かったら観に来ないか?」
「えっ?」

彼からの誘い。
 尚、その時菫のオジサンは特にそれでどうこうする訳でもなく、八百屋で普段から人と
接客してるからか、直に隼人君の父親とも打ち解け、向こうも不器用ながら酒を交わし。
 菫と隼人君の会話も、オジサンが用を足し、隼人君の父親が電話で席を外し、
 二人っきりになった時の物で。

「それ、アンタに気があるんだよ、それ、アンタに気があるんだよ!」
「何故二回言う?…そんな、在る訳無いでしょ、私と付き合ってただ一度として女の子
 扱いしてくれた試しが無いんだよ」
「菫は彼が好きなんでしょう!?そんな弱気でどーする?」
「…そりゃー彼には会いたい、会って自分の想いを伝えたい!」

菫は彼と離ればなれになる前、ずっと彼に伝えたかった言葉があった。
 しかしそれも言えず仕舞いで終わってしまい。

「なら、そのバスケの大会、観に行こうよ!そして想いを伝える!」
「杏…」

ニィと笑って見せ、菫も呆れ顔でありつつも笑みを浮かべ。

「私も付き添うからさ…」
「うん、有難う杏」



好き…だぁーい好きなんだからっ!の最初へ 好き…だぁーい好きなんだからっ! 94 好き…だぁーい好きなんだからっ! 96 好き…だぁーい好きなんだからっ!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前