な-1
昨日のあれはなんだったんだろう・・・
あたし、駿ちゃんにキスされた・・・
されたよね?されたよね!
朝起きてもなかなか部屋から出たくなかったあたしは
いつまでも布団の中でぐずぐずしていた。
いくら考えても答えは1つにしかならない。
「夢、ごめん」
そう言ってあたしにキスした駿ちゃんは
寝ぼけてあたしを夢ちゃんと間違えたのか
それとも夢ちゃんの身代わりにしたのか。
そっとキスをして布団をかけ直してから
出て行った。
大きなため息が自然と漏れた。
いくら顔を合わせづらくても、そろそろ起きないといけない。
そっとドアから顔を出して、リビングを覗き込む。
シーンとしているその気配に
気まずさも忘れて
「駿ちゃん?」と呼びかけても返事は帰ってこなかった。
そっか。今日は平日だから。
春休みの私とは違って駿ちゃんは仕事だ。
そっと部屋をでてテーブルまでたどり着いたら
目玉焼きにラップがかかっていて
メモがあった。
「パンを焼いて食べな。ジュースとか牛乳とか勝手に飲んでいいから」
そんなメモに拍子抜け。
昨日の事を気にしているのはあたしだけなの?
あたしが寝ているから知らないと思ってるんだね。