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LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

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9.綻び-7

「あっ、お疲れ様でしたー」
 何食わぬ顔で出てきた悠花に、スタイリストが挨拶したあと、笑顔で、「あれ、今日は少し雰囲気違いますね。デート、ですかぁ?」
 来た時とスタイルもメイクも変わっていた。入室した時はいかにもモデルの出勤姿らしくショート丈のデニムジャケットに濃藍のシガレットパンツ姿だったのが、今はフルレースで袖がシースルーとなったホワイトのペプラムチュニックに、黒のタイトミニスカートで美脚を強調した姿になっていた。
「いえ、そんなんじゃないんですけど、ちょっと友達と遊びに行く約束してて」
(アクセまで変えて……、デートじゃなかったら、合コンとかかなぁ)
 スタイリストはファッションを生業としている以上、来た時のスタイルも詳細に憶えており、来る時には付けていなかった、光るピアスもネックレスも目敏く見つけていたが、もちろん余計な詮索を口には出さない。控室に入った時に大きめのバリーのボストンを携えているのを不思議に思っていたが、着替え類が入っていたのかと思ったら合点がいった。
「お疲れ様です。また宜しくお願いします」
 襟元にテンプルを掛けていたサングラスを広げながら、スタイリストに挨拶をして歩き始める。何人かのスタッフとすれ違い会釈をする。彼らに向けた表情は愛想の良い笑顔だったが、やがて誰ともすれ違わなくなると、サングラスに隠れていても笑顔は疾に消え、唇を真一文字に結んでおり、最後に警備員が敬礼で見送ったが、彼に向けてはもはや眩しい笑顔を向けることはなかった。出口に現れた悠花の姿を見つけると車寄せにタクシーが入ってくる。ドアが開くが、中の運転手に掌を挙げて待機を促しながら携帯をかける。
「……終わったけど。どこにいけばいいの?」
 着信音一回聞こえぬうちにすぐに男に繋がった。
「あはっ……、早かったね! 今、どこかな?」
「恵比寿」
「じゃ、五反田まで来てもらえるかな? 意外と近いでしょ?」
「さぁ……」待たせていたタクシーに乗り込みながら、「場所どうし近いとかよくわかんないしね」
「あはっ、……じゃ、運転手さんに、『五反田駅の桜田通り沿い』って言いなよ? ちょうど線路と交わる所にいるからさ」
 まるでタクシーに乗ろうとしているのをどこかから見ているのではないかと気味悪くなった。何も言わずに電話を切り、男の指示通りに伝えると、それだけで運転手は場所の要領を得たようだった。
 車が発進するとすぐにメールが届く。

『ちゃんと、俺のプレゼント、
 履いててくれてるかな?
 証拠写メ、送ってよ』

 運転手の後ろ姿をチラッとみながら、

『もうすぐそっちに行くから、それまで待ったら?』

 と送信した。男に対して無駄な抵抗だとは分かっていても。

『だーめっ。
 今すぐ悠花ちゃんのパンチラ見たいんだ。

 タクシーの中でパンチラ撮影するなんて、
 ドキドキもんでしょぉ?

 悠花ちゃんが興奮しそうなシチュエーションじゃん?』

 文面を見て眉を顰める。からかわれたことに対する屈辱と怒り。これまで頑なな態度を揚げ足取られて、何度この男に辛酸を舐めさせられただろう。しかし同時に胸がキュンと痛くなって、長い脚を折って座っているために太ももがかなり顕に捲れているタイトスカートの奥が疼いた。自分の体はどうしてしまったのだろう、自分でコントロールできないところで、男に翻弄されるようになっている……、そう思いながら前方の運転手の様子を伺う。ミラー越しのスカートの裾への視線を避けるためにボストンバッグを太ももの上に置いていた。背もたれに預けていた上体を、少しバッグを抱えるように起こす。膝頭を開いて、ボストンバックの下にスマホを差し入れた。それだけで誰が覗いているわけでもない携帯カメラのレンズの視線に、開いた太ももの最奥の暗がりに息づいている秘所が更に疼いてしまう。
 指先だけでストロボライト撮影のボタンを操作する。シャッター音が思ったより大きい音で聞こえてきてドキリとして運転手を伺ったが聞こえなかったようだ。画面を確認する。少し斜めになってしまったが、スカートと内ももの暗みの奥に、アニマル柄の薄布がしっかりと写っていた。思わず画面を画面をズームして、その中心をチェックしてしまう。幸いデジタルカメラの画面上では染みの類は写っていなかった。


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