投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

愛しているから
【青春 恋愛小説】

愛しているからの最初へ 愛しているから 13 愛しているから 15 愛しているからの最後へ

意外な強敵-2

「……そうだね。じゃあ歩仁内くんとお兄さんには迷惑かけちゃうけど、ここはお願いしようか」


石澤さんが修と顔を見合わせていると、


「あー、全然迷惑じゃないから、そんな気を遣わないでってば。

大学生の夏休みって無駄に長いし、参加させてもらってむしろ感謝してるんだ。

よろしくね、ええと、何ちゃん……?」


と、州作さんは石澤さんにニッコリ笑いかけた。


その爽やかスマイルに、ポッと顔を赤くする彼女。


あー、そんな露骨に赤面しちゃったら、修に怒られちゃうぞ。


そう思うや否や、すかさず彼女の手を取った修は、そのまま自分の身体の陰に隠すように手を引いた。


そして修はニッと不敵な笑みを浮かべたかと思うと、その薄い唇をゆっくり開き、


「んじゃ、歩仁内の兄ちゃんとは初対面だから自己紹介するわ。

オレは歩仁内と同じクラスの土橋修って言います。んで、こっちがオレの彼女の石澤桃子です。

ちなみに、今年の夏の目標は、そろそろ大人の関係になりたいことです」


なんて、冗談に聞こえない冗談を言いながら、州作さんに反対側の手で握手を求めていた。


修の自己紹介に、皆がドッと笑った。


そんな中、顔を真っ赤にして怒るのは、やはり彼女。


「ちょっと! 何言ってんの!」


「何だよ、目標くらい好きに言わせろよ」


「ってか、自己紹介にそういうのはいらないでしょ! バカ!」


石澤さんが怒っていても、口笛を吹く真似をして、すっとぼける修。


そしてまた二人は、いつものパターンでじゃれ始めた。


そんな二人のやり取りに、すっかり空気が和んだような気がしたけど。


屈託なく目尻を下げて笑う修をチラリと横目で追う。


……修、あれ、わざとだよな?


州作さんの爽やかな笑顔に、あまり男に免疫のない石澤さんは顔を赤くした。


それに気付いた修はわざと牽制するため、ああやって付き合っているのを明言したんだろう。


もしかしたら、修もまた密かに胸騒ぎを感じていたのかもしれない。




愛しているからの最初へ 愛しているから 13 愛しているから 15 愛しているからの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前