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ボールと家族とワールドカップ
【家族 その他小説】

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オマケ-1

【オマケ】

いやー、今回のワールドカップ、日本の躍進はなかったのは残念ですが、最後まで面白かったです。終わって寂しいです。

この短編の序章を書いた時に、某所にそれをアップして「こんなの書き始めました。今からこの続きを書きます」と紹介していたのですが、それを見た物書き仲間の方が、即興15分ほどで、筆の遅い私に代わって勝手に続きを書き、コメ欄にアップしていただきました(笑)

某所でも特に過疎化の進んだ私の所に埋もれさすのも勿体ないので、オマケとして貼らせてもらいます♪



【忘れた物を取りに(友情執筆バージョン)】序章の途中から

両手で重さを確かめてから、おもむろに太ももに落としたボールは、ポンポンポンとリズムカルに弾み、心も弾んだ。

しかしそれは一瞬の事、甲で受けた次のタッチは、予想した軌道を描かず、降りたばかりの車のドアに当たり、想像以上の大きな音に顔をしかめた。

「アハハッ!下っ手くそねえおじさん!」

突然掛けられた声の主を探すと、真っ赤なスポーツカーのドアに寄り掛かった女が居た。

金色に染めた髪はウェーブがかっていて、サングラスで目は隠されているもののこれまた真っ赤なルージュをひいた唇は艶やかにテカっていた。

服も派手である。トップスは透けた水色のブラウス。インナーのキャミソールは短く、臍を露にしている。

下はピッチリとお尻を強調するような黒い超ミニのスカート。

仕事は水商売だろうか。そんな風に思わせる。

だけれど――――会社の駐車場だぞここは。何故こんな垢抜けた女が居るんだ?もしかして社長の愛人とかか?

そんな無粋なことを考えていると、女は私の元へ歩み寄ってきた。高いヒールの音がアスファルトに反響する。

「おじさんさ、暇なの?」

足元に転がったボールを彼女は拾い上げた。

私は答えあぐねる。暇ではない。しかし暇ではないなら何故ボール遊びをしていたか問われるだろう。そうなれば全てが言い訳となってしまう。

「別に問い詰めてるってわけじゃないんだから。そんな難しい顔ないでよ」

彼女はけたけたと笑いながら言う。

年齢は20代前半といったところか。

「ね、おじさんってセクシーだよね」

「セクシー?」

初めて言われた。

日本の文化では男性に対してセクシーなどと言うことはまず無い。それは欧米諸国の文化であろう。

私はそんなことを言うと、彼女はやっとサングラスを取る。

彼女の瞳は大きく、硝子細工のように綺麗で吸い込まれそうだった。

「言わなくたって、女も男をセクシーと思うのよ」

男にセクシーさなどあるのか?

ふと彼女を見ると私の買ったサッカーボールをおもむろに食べ始めている。

「ちょ!?」

セクシーな女は必死にサッカーボールに歯を立てて噛みついている。ボール外側の皮が彼女の歯と顎の力によって捲れる。

ベリリリッ!ベリッ!

なんという顎筋力。

見る間にサッカーボールの外側の皮が剥がされていき、その皮は彼女の奥歯に擦りきられ、喉を通り胃の中へと入っていく。

そしてまたボールに噛み付く彼女。

私の買ったサッカーボールはやがて、彼女の血となり肉となっていく。

ああ、そうか……。

私は間違っていたのだ。

サッカーボールは買ったらすぐに食べなきゃいけない。鮮度が命なのだ。

彼女の歯はボールのゴムを貫き、パアンッと破裂した。

何とも、幸せそうな顔だ。

「セクシーなおじさん。残りは持ち帰るね。ごちそうさま」

言って彼女は破けたボールを胸の谷間に仕舞いこんで去っていった。

「ああ、さよなら……」

今度はいつ会えるだろうか。

サッカーボールにむしゃぶりつく彼女を思い出しながら、僕は股間を盛り上がらせていた。


end


真面目な私は、このセンスは見習いたいですね。


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