「アルデンテに勃ってみて♪」 -2
「だからさ、我らを創造した神は、種の保存のため、食いしん坊の女どもに精液を好んで飲ませないように、わざわざ エグい味にしたんだよ」
「へえええ、そうなんだあ」
感心してみせると、やつはシーツに埋もれたまま得意げに胸を張った。どうせ張るならチンポをもっと張れってんだ。
「あ、そうだ。他の女の味がするかどうかだった」
あたしは柔らかいペニスをまた口に含む。卑猥な弾力を頬の内側に感じながら、ワインのテイスティングさながらに肉 塊を舌の上で転がしてみる。次に唇をすぼめ、空気といっしょに啜って香りを立たせる。
「うーん、これは、一九五八年ものの味がしますなあ。産地は甲府……」
いけないいけない、また話が逸れそうになった。
「うん……。シェフ、あんたは無罪だね。他の女の味はしないよ」にっこり微笑む。「でも……」目を吊り上げ、萎れ ペニスをねじり上げる。「あたしがこれほど熱心にフェラしてるってのに、ちっとも芯が通ってこないのはどういうわけ?」
すると、シェフはことさら重々しく言った。
「とま子、おまえ、男にも生理があるのを知ってるか? 女と違って出血はないが、月のうち一週間ほど勃起が弱くな るんだよ。どうも今夜はそんな厄日のピークに当たっちまったようだなあ」
「へえええ、そうなんだあ……、って感心するわけないだろ。そんなでまかせ、誰が信じるか」
そ の夜、立ちの悪いシェフは、あたしの肛門責め(指を入れて内側から前立腺を刺激するやつ)によって無理矢理エレクトさせられ、性愛の 滅私奉公。
「あんん。いい。もっと突いて」
男にピストン運動をおねだりし、自らも積極的に腰を振る。そうして悦楽モードに突入したオマ○コは、
「あーん。好き。これ、好っき」
貪欲に快味を追い求める。
「んんんんん! はああああ!」
こうなると何も見えず、何も聞こえなくなるんだ。感覚は性感だけに一点集中。あたし締まりがいいのか、膣に空気が 入ると、それが抜ける時にブブッと音がすることがあるの。でも、そんな卑猥な音も今は気にならない。
「はっっっっ! んあああっっっっ!」
アクメに達する一歩手前。この瞬間は、もう死んじゃってもかまわない、って思う。まじで。
そうして、秘肉が、待ち望んだ喜悦にひくつく。
「んっ………………!」
数秒間隔でひくつく。
「ぐっ………………!」
あたし悶絶。
後 を追って、シェフが振り絞るように射精したようだった。
事 が終わり、疲労困憊の男の手で外されたコンドーム。端っこを結ばれて枕元に投げ出されたそれを見ると、米のとぎ汁みたいな薄い液体 が、申しわけ程度に溜まっていた。
ご めんよダーリン。明日、牡蛎でもおごるから。今夜激しく消耗した亜鉛を、せっせと補給してちょうだいね。