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ハツミ
【OL/お姉さん 官能小説】

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トモキ 2nd Story-7

―ハツミとこれきりでさよならなんて絶対に嫌だ!!!

そうと決まっているならば俺は行動を起こさなくちゃいけないハズだ。次に会う約束を取りつけるなり、ハツミと連絡先を交換するなり、何もしなければこれきりもうハツミと会うことは出来ないのだ。
ハツミを抱いた時、ハツミに届かなかったあの言葉をもう一度伝えなければ…。

―愛してる、俺はハツミを愛してる。

しかし俺はこの言葉をハツミに伝える事ができなかった。

ホテルの部屋を後にした俺立ちは取り合えずタクシーの捕まえ易いであろう大通りへと向かって歩いた。
大通りに出てから俺たちがタクシーを捕まえるまでに俺は行動を起こすつもりでいた。
大通りに出るまではあぁでもない、こぉどもないと頭の中でハツミへの言葉を並べては崩し、あれこれ選んでいたのだ。
しかし大通りへと出た瞬間、タクシーを探しているそぶりを見せていたハツミの元へタクシーが速度を落とし近付いてきたのだ。
「先にいいかしら?」
そう言うハツミに俺はダメだと言うこともできずにタクシーに乗り込むハツミを見送る。
何も出来なかった俺は自分で自分が情けなかった。情けなさ過ぎてこのままこの場に座り込んでしまいたいとすら思った。
唯一の救いは、タクシーに乗り込むハツミが俺に向かって「さよなら」ではなく
「おやすみなさい」
と言ってくれた事だった。


その日から俺の頭はハツミの事しか考えられなくなっていた。
仕事中売り場に立てば店の周りや表の通り、視界に入る全ての場所にハツミの姿を探した。
店の裏に下がって倉庫内の在庫の整理をすれば、どうすればまたハツミに会うことができるだろうか、とあの日の会話を出来るだけ詳細に思い出しハツミの言葉に何かヒントはなかったかと考える。
売り場でレディース商品の発注をすれば―この服はハツミに似合いそうだ―とか、メンズ商品の発注をすれば―こんな服はハツミの好みに合うだろうか―などととにかく考える事全てがハツミに纏わることばかりだ。
極めつけは、ハツミに出会った日から毎日どんな時間になろうと仕事帰りにはハツミに初めて出会った場所へと足を向けていた。

―きっと俺みたいなやつが叶わぬ恋をしちまったりするとストーカーってやつになっちまうんだろうな…。普段クールぶってるやつほど危険…!?

こんな事を考えたこともあったが、俺はこの恋を叶わぬ恋にするつもりはなかった!それにストーカーになる気もさらさらない。
今度こそハツミに俺の気持を伝える!!!
今度こそ……!!


今日も俺は例に漏れず、ハツミに初めて出会った場所へと足を運んだ。仕事の整理が中々進まずかなり遅い時間になってしまってはいたが、ここに日に一度は来なくては俺の気が済まなかった。
歩道を歩いていると、早春とはいえまだまだ冷たい風が吹き付けてくる。恐らく副都心方向から流れてくるビル風だろう。
冷たく冷えてしまった指を暖めようと思いジャケットのポケットへと手を差し込む。
すると、普段何も入れないようにしているポケットのなかに何か紙切れの様な物が入っている事に気付き不思議に思う。そしてその紙切れの様な物を取り出そうと指先に挟んだ時俺はある事に気付く。

―このジャケットはハツミと出会った日に来ていたものだ…!

期待と不安の混ざった気持でその紙切れを取り出すと、それは几帳面に四ツ折りにされた小さなメモ用紙。
急いでそのメモを開くとそこには


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