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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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本当の優しさ-1

両手を手すりにつけ前へ歩行する関節リウマチのお爺さん、看護師に目線が合う位置まで
しゃがみ優しく声を掛けられる小児疾患の女の子、マットの上で仰向けとなり足を上げ下げする骨関節疾患の女性、などが一般生活を送れるよう、リハビリルームで精を尽くしている。

「はいっ!おいっちにーさんしーにーにーさんしっ、はいっ!あんよ上げて。」

僕もまた例外無くその一人だ、ブルブル震える杖が床を押し付け、5秒に一歩前進し
 退院目指し息を切らせている。

外傷性脳損傷と呼ばれるリハビリテーションで、先ほど専門医の方から診察室にて
 軽い知能テストを受けたのち今後完治までにどうリハビリをしていくかの計画案を立て今に至り。

「んもぅー、「あんよ」じゃなくて「足」だろ?」
「うひひひぃー♪、はいっじゃーもう一回だっ!」

リハビリをする僕の横で、時に両肩を支えついていき、手伝いをしてくれる杏。
 その好意自体体力的にも精神的にもとてもありがたいのダガ、僕を応援する間際
 人を子ども扱いし、まるで人形でおままごとでも楽しむかのように、ニヤニヤする。
 僕の注意など耳にも貸さない、彼女のちょっとした腹の立つ所だ。

そんな彼女を放っといて、体を背け、ツルツルの床に目線を落とし、溜息を吐きつつ
 再び足を前にあげると……。

「うわぁんっ!!」

痛む足に鞭を打ち、かれこれ二時間以上歩行をし、体全体が重く圧し掛かり、気を抜いて
しまい、足と足が絡みバランスを崩し、思いっきり床に肩を叩きつけ、周囲の人がその
 コケた大きな音に一瞬振り向き。

「ちょっと、大丈夫!?」

僕がコケそうになり慌てて駆けつけるも間に合わず、しゃがみ、震える片手を彼女手で
 手すり代わりに起き上がる。

はぁー、何か嫌になってきたかも……

暗い表情で他の患者を眺め、溜息をつく。そんな僕を察した彼女が。

「絆……」

アノ日の夜、励ましてくれる彼女に向かって「何も解っちゃいないっ!」などと怒鳴り
 今だその絶望感で、落ち込んで再び元気をなくすと思い、不安な表情を浮かべる彼女  でも、僕は……。

「大丈夫だよ!僕なら平気、続けようっ!」

そんな雲行きを一掃し、笑みを浮かべる彼女。
 僕は言ったように、再び前へ歩む。

「ふっ、でもさっきの「うわぁん!」は可愛かったヨ♪」
「杏ぁっ!」

そう、僕はもう挫けない
もう二度と、太陽のように明るい彼女を泣かせたりなんかしない!

「……。」

そんな僕等の姿を入り口からジッと見つめる一人の若い女の看護師。

    


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