本当の優しさ-6
「きぃーずなぁ!おっいたいた、やぁーやぁー精が出ますなぁー」
性懲りも無くリハビリルームへ足を運ぶ私。リハビリをしてる彼と目が合うも顔が険しく
私はお構いなく近寄り。
「どう?少しは治ってきた?」
「全然」
目を背け、イラついた口調で返答し、私に構わず歩行を続け、するとまたも足を崩し
その場で倒れ。
「大丈夫!?」
「来るなぁっ!!」
抱き上げようと彼の体に近寄る私に対し突然の怒号。両手が止まり。
「いいって言ってるだろう、自分一人でも出来るって」
「でも…」
自力で、何とか立ち上がる彼。
「やっぱり、全然大丈夫じゃないじゃないか」
「えっ?」
「さっき、加藤君達がここに見舞いに来た。そして聞いたんだ「織原サンが、テニスウェアを着た女子に言い寄られてた」って」
「それは…」
「後、昨日の夜いずみから電話があった「お母さん泣いてた、仕方無いでしょっ!、とか
叫んでて」って。昨日の夕方リハビリを母さん達のせいで続けられない事を盗み聞きして
問い詰めたんだね?」
そう言う彼の目はとても怖く。
「だって、当然でしょ?!病気で苦しみ生きたいと願っている息子を放っておくなんて
まぁ結局リハビリ代を出してくれる様子は」
耳障りに感じた彼は突然人の話を遮るように、持ってた杖を乱暴に床に投げ出し。
「帰って…」
「え?」
「帰れっつってんだよっ!もう顔も見たくないっ!」
「!!そんな、何でよ、私は…私はぁ、貴方の事を思って」
涙が溢れ出てきて、それを目にした彼も我に返り。
「あ、ゴメン…君はただ、でもっ、だからって」
「あーそうですねっ!どーせ私はおせっかいなお邪魔虫ですよっ!人の後を付けて盗み聞きして、勝手にヒートアップして、悪気は無い貴方の親に行き成り食って掛かって、傷口
開くような真似して苦しめて、えーそうですよっどーせ私はバカで最低ですよっ!
じゃーね!早く退院してね、じゃっ!」
彼の心無い言葉に怒りを爆発させ、この場を勢い良く去った。
何よっ!
私は貴方の事を思って
それなのに、帰れっ!、だなんて…
せっかくリハビリをする気になって、上手く行ったと思ったのに。