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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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本当の優しさ-11

この日も変わりばえ無く、受付付近に腰を下ろす高齢者夫婦や、廊下を渡る車椅子の若者

今日のリハビリを終えた僕は、ベットに付く前にちょっと時間でも潰そうかなと売店で
 ジュースを買い、受付へ何となく歩みより。

「鉄より軽く強い素材、実用化へ…」

受付で待機する患者やその付き添いを退屈させない為に、備え付けられたテレビ。それに
首を上げ観つめる老夫婦。他愛も無いニュースが目に映り。

今日も一人で行ったリハビリ。ルームで見慣れた足を悪くした女性がパートナーとホッとしたような笑顔で見つめ合う姿を目にした、どうやら回復に向かったようだ。
 他の人もパートナーと共に回復の兆しが見えかかってきたらしい。治っていないのは僕だけだ。
 それに追い討ちを掛けるかのように、先生から「上からの指示で、無銭患者にこれ以上
ルームを使用するのは遠慮して欲しいと言われた、だから、もう。」と申し訳無さそうな顔で申してきて、やはり規則は規則だった、今まで足を運べたのが不思議なくらいだった
故に、明日のリハビリを最後に、僕は体を治す事は出来ず、それは母さん達の理想通り
 このまま病院で骨を埋めろと言う事になる。

「はぁー……」

問題解決出来ずに、大きなクイを残す事となり、暗い表情を床に落とし、落ち込んでいると、次のニュースが流れてくるが、僕は何も気にはとめなかった、妙な単語を耳にするまでは…。

「高一女子、男の自宅でわいせつ行為を受ける」

高一女子それは杏と同年齢、ある筈は無いがそう聞かされると気にはなり。

彼女は肉食系女子で、テニス部として毎日ラケットを振りコート内を走っているので
例え襲われたとしても、雄たけびでもあげ犯人を返り討ちにする筈。

だからテレビに映る高一女子、と言うのは彼女である筈が無い。そう思っていたらキャスターが、次に奇妙な言葉を口にし。

「援助交際で「病気の恋人の為に」と言っており」

病気の恋人、それって僕の事?
 いやいやまさか、でも高一女子って
 開いた口が塞がらない、まさかそんな筈は。
 きっと気のせい、思い過ごしだ、でも
 僕は、彼女が僕の為に行き過ぎた行為を行う所を何度か見て聞いた。

「まさかな…」

嫌な予感が止まらない僕は、すぐさま病室からケータイを手に取り、庭で彼女の番号に
 掛ける事に…

プルルルルルゥ

単なる思い過ごしだ、事件に巻き込まれる何てそうそうない。
 いわゆる「ウチの子に限ってはっ!」って奴

すぐに訪ね、こんな下らない不安を吹き飛ばそう。
 この前あれだけ口喧嘩をして、複雑だが、これを機にちゃんと謝ろう。

「はい、もしもし?」

数秒して彼女の声を耳にする、その声は何処か元気が無く、当然か。

「あ、杏、今大丈夫?」
「うん、どーせ菫と馬鹿見たいにクレープ喰ってるだけだし」
「馬鹿見たいって、そんな」

何時もの冗談にも毒がついているようで。

「それで、ご用件は何?」
「あ、えと…その。」
「この前は、ゴメン。君が僕の為に色々と身を削って頑張ってくれたのに、あんな酷い
 言い草で怒鳴ってしまって。」
「…………。」

電話の向こうで、車の走る音や、店員の声が聞こえる。御園サンと色々相談していたのだろう、僕のせいで、また。

しばらく口を開かず、沈黙する彼女、そして。

「私の事、嫌になってない?」
「!…、そんな嫌に何て、僕は君が好きだっ!どんな事があったってそこは変わらない」
「絆ぁ!」

安堵の表情を浮かべる、声色から想像出来る。
 これで仲直り成立か、僕は本題に移る事に。

「今はどう?無理とかしてない?」
「うん、特には。ただ元気は出ないな」
「……、杏さぁ冗談抜きでちょっと聞きたい事あるんだけど」
「えっ、何?」
「君、昨日あの後何もなかったよね?普通に家に帰ったでしょ?」
「んっ、何でそんな事聞くの?」
「いや、その、さっきね偶然テレビで見たんだ、高一女子が、援助交際でお金を受け取るとしたって、しかも病気の恋人の為って…」
「!!」

電話の向こうで、ハッとする杏、まさか。

「いや、私は…その」
「正直に答えて、そんな訳ないよね!君が僕の為にそこまで、あまり関わりの無い慣れない相手である僕の親に責めに行って、仕舞いには援助交際にまで手を染め、危うく嫌らしい事をされそうになって。」
「されそうになった、じゃなくて実際にされたの、まぁ間一髪で逃げたけど、お金も受け取れずじまいで」
「!!」

そんな、やっぱり

本当の事を言って、と口にした手前、嘘でも違うと言って欲しい矛盾。

だが彼女の口調は、とてもハッキリしており、嘘を話しているようには見えず。
 隣で聞いてた御園サンに本当の事を言うように促されたのだろう。

僕は、真っ白になった頭を元に戻し、そして。

「…話がある、ちょっと病院まで来てくれないか?」
「何よ、話なら今電話で」
「いいからぁっ!!」
「!!」

あぁまたヒートアップしてしまった、電話の向こうですくむ彼女。

「ゴメン、怖がらせちゃって、別に何もしない、だから、お願い!」

声を力ませ、彼女に頼み込む。

「何もしないとって喰ったりしない、って言うのは私専用の言葉でしょ。それに何かしたきゃしても良いよ、押し倒したり…、分かった、今どこ○もドアで行くから待ってて」

押し倒されたいのか?こんな時でもジョークを、気のせいか日に日に頭のネジが取れてきてるような…

兎に角、承諾してくれたので、そのまま電話を切り、先に病室に戻り。



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