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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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カミングアウト-3

修とその彼女である石澤さんは、歩仁内と本間さんが付き合った頃と同じ時期に付き合い始めた。


紆余曲折はあったものの、やっとお互いの気持ちに正直になった二人。


でも、もともとが友達として仲が良かっただけに、その交際も友達の延長上のようなプラトニックなものなんだそうだ。


それでも修は健全な男子高校生なので、一線は越えたいらしい。


対して石澤さんは、男に免疫のない女の子。


だからなのか、彼女の方がなかなかそんな甘い雰囲気にさせてくれないと、修はしょっちゅう嘆いていた。


「あー、これで彼女とヤってねえのはオレだけかよ。いいかげんに腹決めろよあの女」


ズボンのポケットに手を突っ込んで天井を仰ぐ修。


「でも、お前はとうの昔に童貞捨ててるんだから余裕を感じるよね」


修に向けて言った歩仁内の言葉に、ビクッと俺が反応してしまう。


「んなもん関係ねえだろ」


修は素っ気なくそう言うけれど、確かにさほど焦っているようにも見えない。


コイツは石澤さんと付き合う前は、メチャクチャ可愛い彼女がいたし、初体験は中3の時に友達のお姉さんに奪われたとか言ってたし。


そんな事情を知っているから、修が石澤さんとヤれないことくらいそんな深刻な問題じゃないように思える。


俺に比べたら……。


「でも、1回しちゃうとアレ、ヤバいね。クセになりそう」


「おいおい、あんまりガッついて本間に嫌われんなよ?」


「だよねえ、そればっかりで身体目当てとか思われたくないし……。どんくらいのペースでやればあまりガッついてない?」


「……それ、未だに石澤とヤってない俺に訊いちゃう? そんなのこちらの先輩に訊けよ」


肩身の狭い俺の横でガハハと笑い声を上げる修は、ついに俺の方に手のひらを向けた。


こめかみを小さな汗が伝う。


それを悟られないよう、手櫛で髪の毛を整える振りしてこの後の展開をどう切り抜けようか必死で考えていると、歩仁内がクリクリした黒目がちな瞳をこちらに向けて、


「大山は中川さんとどれくらいのペースでヤってんの?」


と無邪気な声で訊ねてきた。


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