彼女を、支えるもの…-14
ううっ、足が痛い、歩くのはちょっと体力が居るな。
御園サンは帰り、杏はちょっと用事があるからと、別々に去っていき。
僕は何とか、看護師さんから、オバサンの眠る病室の場所を聞き、足を引きずりつつも
どうにか目的の場所へ着き。
ドアをゆっくり開き、部屋を覗く、すると奥で、あの夜見た丸く小さい彼女の背中を目にし…。
「杏…」
「…う、うう、お母さん、死んじゃ嫌だよ?私お母さんがいたからここまでやってこれたんだよ。絆だって救えなかった、誰か私を救って欲しい、助けてよっ!」
御園サンが言っていた、「あの子は本当は打たれ弱い、だって解るもの、あの子笑顔の
奥底で、泣いていたもの」と。
事実だった
僕は本当に情けない、加藤君と御園サンの言う通りだった、自分だけが特別で不幸で
可哀想な人間だと悲観し、周りの人を見下していた。
でも実際に、大怪我を負い、苦しんで困っている人がいた。僕何か自ら大怪我して、いや
それ以上の最悪の結果になればいいと思い、やっとの思いで助かった命を悔やみ、再び
死のうとして。
今の彼女だって僕と同じだ、それなのに、それ、なのに……。
もう僕は逃げない、何時か死ぬ?それがどうした?
だからと言って、生きている今を諦めて良い理由に何てならない!
「うっうっ、お母…さん、……っ!?」
僕はゆっくりと彼女の元へ歩み寄り、そしてそっと彼女を後ろから抱きしめた。
「きず、な?……」
「僕はもう、逃げない、逃げないよっ!絶対に」
言葉を返す事はなく、ただ泣きじゃくる彼女。
そう、彼女、織原 杏は
僕にとって
かけがえの無い、太陽のように明るい存在
この身が滅びるその時まで
その大好きな笑顔を
護って見せるんだっ!
次回、9話へ続く。