決意-5
「えぇ、彼ならたった今、病室に移ったところよ」
「そうですか、有難うございます。」
念の為、看護師さんからも確認を取り、私達は今、彼の居る病室のドアの前にいる。
ネームプレートにも長谷川絆と明記されているのを目にし。
「絆……」
今、彼はどうしているのだろう、オジサンのお陰で、最悪な予感だけは避ける事が出来
それでも当然の如く、気が晴れる事は無く。
一体どうして彼はあんな事を、前まではあんなに前向きで元気だったのに、あれは買いかぶり過ぎただけなのか、それとも彼が私を心配させまいとそう振舞っていただけなのか
何れにせよ私は彼の苦しみに、再び気づいてあげられなかった。
「杏…」
そんな私の想いを察した菫がポンッと私の肩を叩く。
「私はここで待ってるから、しっかり彼と向き合うんだよ」
「菫…、うんっ!」
そして私は意を決し、その重たいドアノフに手を掛けた。