淫魔の夜-3
私はこのお屋敷に来てからもう2年にもなります。けれど殆ど外出することは許されません。私には身寄りがないので里帰りする必要がないのですが、それでも買い物くらいはしたいと思います。
お屋敷からは僅かなお給金のようなものも頂きますが、ほしい物は女中頭に告げてそれを買ってきてもらうシステムになっているのです。
それでも一度だけどうしても外出したいと願い出て特別に時間厳守で許可されたことがあります。でもそのときは誰かに後をつけられているような気がして落ち着きませんでした。
そして時間が迫ってきたのですが、もう少し別な所も見て廻りたいと足を向けたとき、太い腕に掴まれたのです。あの熊のような庭男がいて私を睨むのです。
「お前、門限を破ろうとしたな。ヤニーナに言いつけても良いのか。」
私は首を激しく振りました。
「黙っていてやっても良いぞ。俺の言うことを聞けば」
そして信じられないことに私をいきなり抱きすくめると、私の乳房をあの木の瘤みたいな手で揉み始めたのです。
そしてお尻もむんずと掴んでグイグイと揉み始めました。私は気持悪くて悲鳴をあげて男の顔を引っかきました。
男は手を離しましたが、ニヤニヤ笑ってへんなことを言いました。
「ふん、どうせお前に用がなくなったら俺が自由にできることになってるんだ。それまでの楽しみにしとこうか? それにしてもずいぶんお前はねばるもんだ。あんまり待たせるなよ」
私はお屋敷に向かって後も振り返らず走りました。まさか今までの侍女はあの庭男に自由にされて、それから……。私はそこまで考えると気が遠くなりそうになりました。
私はそれ以来外出を希望しなくなったのです。本当に篭の鳥になったのでございます。