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キラキラ狼は偏食の吸血鬼に喰らわれたい
【ファンタジー 官能小説】

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地獄へ道連れ 1-3


 ―― 遺跡をひたすら彷徨い、数時間は歩き続けただろうか。

 アーウェンは振り向きざま、後ろから忍び寄っていた吸血鬼の腹へ、爪を食い込ませた。
 奥深くまで爪を押し込んで、一気に横へ引き裂く。真っ赤な血飛沫が飛び散り、アーウェンの毛皮を汚した。
 黒髪の少年吸血鬼が絶叫をあげ、引き裂かれた腹を押さえた。秀麗な美少年も、腹の傷から零れた臓物を、あわてて両手ですくう姿は、あまり様にならない。

「死ね」

 アーウェンはそれだけ呟き、吸血鬼の黒髪を掴んで、首を胴から引きちぎる。皮膚と肉と神経の千切れるブチブチとした感触が伝わった。
 何の高揚も感じず、ひどい苛立ちと嫌悪感が増すだけだった。
 いくら人狼といえど、ずっと休息もとれずに、地下をさまよいながら十数匹のキメラとも戦えば、かなり疲労が溜まる。さっきキメラに一撃くらった肋骨がひどく痛む。ヒビでも入っているのだろう。
 ラクシュは一向にみつからず、焦りから神経もささくれる一方だ。

 吸血鬼が絶命したのを確認し、首と死体を別々に放り捨てる。あれもすぐに、地底に住まう生物たちの餌になるだろう。

(ラクシュさん……すみません……)

 恥知らずの見本のような吸血鬼にではなく、ラクシュに対して、アーウェンは心の中でわびる。
 所詮、彼女のために戦う本当の武器になど、なれるはずがなかったのだ。
 なぜなら、すでに彼女自身が最強なのだから。
 ラクシュの身を案じるふりをして、彼女につきまとう者を勝手に選別し、自分勝手な判断で始末することしか、アーウェンには出来ない。

 ついさっき、栗色髪の青年吸血鬼も殺したから、これであと吸血鬼は二人か。もし、他の存在に殺されていなければの話だが。
 残りも近くに潜んでいるのかも知れないと、アーウェンは深く息を吐いて、気を引き締める。

 甲高い少女の悲鳴が聞こえてきたのは、その時だった。
 慎重に、声のしたほうに駆けつけると、絡み合った鉱石木の向こうで、発光鉱石の独特な光がゆらめいていた。
 埃っぽい空気のなかで、鋭い嗅覚が覚えのある匂いを捕らえる。

「レムナさん?」



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