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想ぃの行方
【青春 恋愛小説】

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想ぃの行方【裏】-2

「別にいいって、二百円くらい」

「だめ、お金の貸し借りはちゃんとする方なの」

どうよ、この男前なセリフ。

「二百円くらいおごらせろって」

そう言うと、素直に『分かった』と頷く。この見事な押し引き具合。

「速水、あんたいい男だね」

それはどうも。そういう君もいい女だよ。矢田もおちるわけだ。




さて、そんな二人の想いの行方だが。
ある放課後、西野は探し物をしているみたいだった。それを矢田が気にしているのを俺はしっかりよみ取った。だから、本当は体育館で遊んで帰る予定だったが臨機応変に他の奴を引きつれて帰ることにした。

「さんきゅ、お前ってまじ男前だな」

そう言って、矢田は一人校内に戻って行った。西野と同じこと言うんだな。
その帰り西野といつも一緒にいる佐田(麻衣)に出会ったので一緒に帰った。ついでに西野が何を探していたのか聞き出し、矢田にメールしてやったってわけだ。
これで何で矢田が探し物が指輪だと分かったのかが明らかになっただろ?



翌日、西野が俺に聞いてきた。

「昨日、帰り早かったの?体育館で遊んで帰ったんじゃないの?」

俺は少し考えた。西野のこの言い方だと、おおかた矢田は『体育館で遊んでたら見つけただけだから』とでも言ったのだろう。矢田はそう言ったのに何故俺は帰りが早かったのか…西野の疑問はそんな感じだろう。そこで俺は一芝居うった。

「昨日はカラオケに行く予定だったけど矢田が用事あるって断ってきたから中止になって帰ったけど?」

これで矢田は嘘をついていて、本当は一緒に探していたという事実が発覚するわけ。西野も矢田の行動の意味が分かったはずだ。




数日後、その証拠に西野がクッキーをラッピングしていたと佐田から情報を得た。

「速水くん何したの?」

「何って?」

「心と矢田くんのこと!心が矢田くんにあげるなんて何かあったに違いないもん」

佐田は含み笑いをして俺を見る。この子も意外に全体をよく見ているんだと感心した。
西野が一人残る教室へ向かって行く矢田を遠くから眺めつつ、俺は笑いながら答えた。

「嘘も方便っていうからな」


そういえば、どんな指輪でどこに落ちてるか矢田もよく分かったものだ。西野のことよく見ているんだな……………俺と同じくらいに……な。


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