第二話 黒相手-6
体位を変えることもなく本手一本槍の異人。しかし、一念岩をも通すということわざもある。連綿たる長魔羅で の突きが功を奏してきていた。霧橋は今、吉原の花魁ではなかった。ただの、肉欲に身を任せる女だった。そうして、
「んはっっっっ……! あひっっっっ……!」
ついに甲高く叫び、下腹を小刻みに震わせる。それが、長く長く続く。
「ああ……。姉さん、気をやっちゃった……」
霧舟が言い、歓八もうなずいた。
「こんなことは年に、いや、数年に何べんもあるまい。眼福といっていいだろうよ」
覗き見る二人をよそに、黒い男の腰振りはまだ続いた。一度燃え上がった女体は怒張の連打という風を送られてさ らに炎を上げる。
「おっ……あああああああっ! んっ……ひいいいいいいっ!」
絶頂の高みから降りるかと思えばまた頂点に舞い上がり、この日、霧橋は、都合七たびも極楽の天空を舞った。
そ して、黒の丈夫が三度目の精を決壊させた時には、女は甘い、かりそめの死に瀕していた。(つづく)