歪な氷雪-16
そうだった、美羽にもこんな時期があったんだと、雅治は胸を熱くさせながら見ていた。かと言っていい思い出ばかりでもない。
美羽が約束を守らなかった時などは、がみがみと雷を落として泣かせてしまったこともある。
ふたたびあの日に帰れるなら、なんとしてでも許してもらいたいと、雅治は未だに過去を引きずってもいた。
「俺は器の小さな男だな……」
苦い台詞を吐いたあとにテレビ画面を見る。少女は華の女学生になっていた。
よほど可愛がられて育ったに違いなく、彼女は色白の肌を手に入れていたし、勉強やスポーツの方面では明晰(めいせき)な部分を大いに発揮したようだった。
もはやセーラー服を着た妖精である。未熟な羽から大人の羽へと生え替わり、興味の赴くまま自由に飛びまわる妖精。
なけなしの血と汗を振り絞った結晶なのだと、父母も手を取り合って娘の成長を喜んでいる。
そして──。
「いやっ」
映像の様子が暗転した直後に少女が悲鳴をあげる。そこへ覆い被さる何者かの荒々しい息遣い。
力任せにはげしく揉み合っているうちに、少女は抵抗する気力を徐々に奪われていく。
「やめてっ」
応じるはずもない悲痛な叫びを相手にぶつける。
「大人しくしてろ、いいか、言うことを聞け」
薄汚い身なりの男が睨みを利かせて恐喝すると、少女の手足が人形のように動かなくなった。
男はにやりと笑ったが、その表情は石仏のように冷たい。
あとはもう雅治の予想通りの展開だった。セーラー服姿の女子中学生がレイプされるという衝撃的な映像が延々と流れていた。
ところが、アダルトビデオ特有の白けた場面を予期していた雅治は、しだいにその表情を曇らせていくことになる。
見知らぬ男によって体をもてあそばれる恐怖を、少女の涙が語っていた。
悲しい気持ち、悔しい気持ち、そして両親に対する謝罪の涙である。
ごめんなさい、ごめんなさい──凌辱されるたびに涙が溢れ、しずくが目尻から耳をたどって畳に染み込んでいく。
彼女は和室で犯されていた。男と同様に薄汚い部屋だった。
「たまんねえ……」
少女の股間をさんざん舐めまわし、男が唸る。女性器の割れ目がようやくぬかるんできたのだ。
さらに陰唇を左右に押し開いてねちねちと愛撫する。
見ているこっちが吐き気をおぼえそうなほど、男の執念が乗り移った愛撫だった。
「恨むんなら」
と男はセーラー服を剥ぎ取りながら、
「自分の完璧な体を恨め」
と最低な褒め言葉を少女の耳に吹きかけ、自身もズボンを脱いで下半身を露出させた。
そして陰毛を少女の陰部にこすりつける。