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吉原昼景色
【歴史物 官能小説】

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第一話 尻稽古-3

「おや、霧舟。霧橋花魁のいいつけどおり素直にやってきたか」

歓八の言葉に、霧舟は面倒くさそうに、

「姉さんのいいつけだから来たけどさあ、とっととやって早く解放しておくれよ。七ツ半(午後五時頃)には見世 に出る姉さんがたの手伝いをしないといけないんだからさあ」

「はいよ。合点。じゃあさっそく稽古を始めようかね、尻穴の」

歓八はまず、香炉を取り出すと匂いの強い香に火をつけた。尻穴の調教は脱糞をともなう。そこで臭気をごまかす ために香は欠かせなかった。

「さあ、裾を大きくまくって尻を突き出すんだ」

「……やっぱりさあ、今度にしない?」

尻の稽古は霧舟にとって初めてだったので急に怖じ気づく。女陰ならばもうとっくに楼主の指図で廓の男に耕され 一人前の性戯も覚えているのだろうが、後ろの穴となると話は別のようだ。とにかく嫌がった。しかし、歓八もしたたかだった。幇間ならでは の軽口でなだめたりすかしたり……。やがて、ようやく霧舟を四つんばいにし、肛門を露呈させることに成功した。

「嫌だろうけど、後ろの穴での味を覚えると病みつきになるやつもいる。普段は糞をひり出すだけの穴も鍛錬次第 では交わりの立派なお道具になるってわけさ」

言いながら歓八は中指の先を唾液で湿らせ、霧舟の尻穴をほぐし始めた。姉女郎の霧橋ほど美人ではないが、若い 娘ならではの瑞々しさが霧舟にはあった。白磁のような臀部の谷間にすぼまった肛菊。そこも淡い緋色で綺麗なものだった。穴に指を深く潜り こませると、しばしゆっくり掻き回して、おもむろに引き抜く。微かな便が指に付着しており、それを落とし紙(便所で使う紙)で拭き取る。 また指先を唾液で湿らせ肛門に挿入する。ぐりぐりやられて霧舟はあからさまに眉をひそめる。やがて中指はくねりから抜き差しへと動きを変 えた。

「こうしているうちに便が出てくるんだよ」

「通じなら今朝、厠で済ましてきたよ」

「でも、だいぶ時が経ってる。新しい便がおまえの腹の中にあるんだよ」

この言葉が嘘でないことは四半刻(三十分)もせずに確かめられた。霧舟の尻穴から柔らかい便がひとかたまり掻 き出されたのだ。執拗な指の刺激で便が常にない速さで腸を駆け下り肛門にまで達したのである。

「ほれ、言ったとおり出ただろう」

指に乗った便を見せてやる。

「嫌ぁっ」

羞恥が霧舟を包んだが、汚れてないほうの手で女の尻をなで回して落ち着かせた。いったん掻き出せば、あとは霧 舟自ら排便できる。

「ほれ、しゃがんで息んでごらん」

落とし紙を敷いてそこに恥ずかしがる娘をまたがらせる。霧舟が息むと、ややあって新しい便が細く長くひねり出 されてきた。それを紙ごと片付け、歓八は遊女の尻を拭いてやりながら優しく声をかけた。

「ここまでくれば箱根の峠を越えたも同じ。もうひとがんばりだ」

唾で湿らせた中指をまたも霧舟の肛門に突き刺す。

「あ……」

鼻にかかった声が漏れ、女は慌ててそれを押しとどめる。尻穴へのねちっこい指の出し入れで、肛門の内側に甘や かな感覚が生じはじめていたのだ。戸惑う霧舟にかまわず、歓八は指の抜き差しを繰り返す。やがて、さきほどの量ほどではないがまたも便が 導き出され、紙に包まれ処理された。これで終いかと思うとそうではなかった。さらに指で肛門を攻め、水っぽい粥状の便が出るようになる と、歓八は懐から鼈甲製の細い棒を取り出した。四目屋(媚薬や淫具などを売る店)で買い求めた細身の張形である。さらに懐から小さな器を 取り出すと、柔らかい膏薬のようなものを指ですくって張形の先端に塗りつけた。そうして滑りのよくなった棒状の淫具を霧舟の潤んだ秘肛へ 差し込む。


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