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失恋の先には
【青春 恋愛小説】

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失恋の先には-1

 今年の春、俺はついに高校生になりました!けど気持ちは完全にブルー。何てったって、中学卒業直前に失恋してるからさ…。
 俺は秋田徹平。中学時代は三年間図書委員会に入ってたんだけど、正直俺は本なんて全然興味が無い。それなのに俺が図書委員会を続けた理由は、俺が好きだった黒須小春さんが図書委員会だったからだ。
 少しでも彼女の傍にいたくて、好きでもない図書委員会で頑張った。でも告白する勇気も出ず、気づけば既に受験生。
 黒須さんの志望校は地元の高校で、俺もそこを受験し、見事合格することが出来たんだ。彼女も合格したみたいだから、俺は意を決して彼女に告白することに決めたんだ。
 それなのにさ…。見ちまったんだよ。俺達が通うはずの高校の制服を着た男と黒須さんが、それはもう恋人オーラ全開で、しかも手を繋ぎながら一緒に帰っている現場を…!!
 それから俺は高校の入学式までテンションが下がりっぱなしだった。入学式で持ち直した理由は、黒須さんと違うクラスになれたことだ。これから一年、毎日顔を見ることになったらたまったもんじゃないからな…。


「徹平は相変わらず元気無いわね。今から入学式なんだから元気出しなさいよ!」
「彩華か…。これでも少しは回復してんだぜ?」
 工藤彩華。俺と同じ中学出身の女だ。こいつがいるとクラスが明るくなったもんだ。まぁ俺にとっては喧しいだけなんだけどな。
「少しはってことはまだ全快じゃないのね?難だったら私が励ますなり慰めるなりしてあげようか?」
「そんなことしなくていいよ。っていうかお前に励まされてもちっとも嬉しくない」
「そんな遠慮しなくていいのよ?」
 俺はそう断ったが、彩華は全然聞いていないらしい。
「…もう入学式なんだよな。準備しとかねぇと」
 俺は彩華を気にしないことにした。どうせ毎日顔を見ることになるんだ。どうせ同じクラスなっちまったんだから…。


 校長のつまんない話とか、校歌とかを聞いて、入学式は終わった。教室に戻ると、今度は自己紹介が始まった。
 出席番号一番の俺がトップバッターとして前に立たされた。適当に挨拶をして席に戻る。
 その時、たまたま彩華と目が合ったんだけど、あいつは直ぐに目を逸らして俯いてしまった。全くわけが分かんない女だな。


 そして高校生活最初の放課後のこと。
「秋田君、これから時間空いてる?」
 一人の女が俺に声を掛けてきた。
「君は確か…」
「私は向井凛よ。秋田君カッコいいから友達になれたらなぁって」
 あぁ、そういうことか。
「空いてるっちゃぁ空いてるんだけど、最近そういう気が起きなくてさ。ごめんな」
 俺は教室を出ようとする。
「工藤さんが気になるの?」
「はぁ?」
 俺は思わず足を止めて聞き返してしまった。
「自己紹介の時、二人が視線を合わせてたから気になっちゃってね」
「確かに目は合ったけどその後直ぐに逸らされたぜ?」
 俺はそう言ったが、向井さんいわく、あの時の俺の視線は彩華に集中していたらしい。
「本当はね、もしかしたら二人の間に入れないかって思ってたんだけど…やっぱりだめか」
「いや、あいつとどうこうじゃなくてさ。…俺、この前好きな子に振られたんだ。気が乗らないのはそれだけの事だよ」
「じゃぁ私でも…」
「でも今は無理なんだ」
 俺は向井さんの言葉を遮ってキッパリと言った。


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