ウ-2
そう言いながらゆっくりと教室の中に入ってきて
じっと私の目を見つめて近寄ってきた。
確かに!私は先月彼氏と別れたばかりですが!
「俺が、里香に夢中になってるんだ」
蒼くん・・・
これ以上、かきまぜないでぇ!
女の子に優しい蒼くんは
女の子を「ちゃん」付けで呼ぶ。
それはたとえ、彼女になっても。
「呼び捨てで呼んでほしいな」
そう女の子に言われても
「君は僕の可愛い『女の子』だから」と言われれば
女の子はそれ以上何も言えない。
「蒼くん、里香の事呼び捨てなんだ?」
誰かが気が付いてそう言えば
蒼くんはその子に視線を合わせずじっと私の目を見たまま。
「里香は俺にとって『オンナ』だから」
そう言い放った。
その言葉は、あっという間に学校中を駆け巡った。