陥落-3
乳房を攻める左手はそのままに、右手人差指で腟口周囲を撫で回しながら、舌でクリトリスを規則的に舐める。
男は少し強めに肉芽を舐め、恵の意識をそこに集めると、不意に乳首を摘んだ。
「んふっ…!」
なんとか声を出さないよう頑張る恵だったが、刺激されるポイントが次から次へと不規則に変わるため、心の防御が間に合わず、その度毎に声を漏らしてしまう。
男の両手はそれぞれが個別の意識を持っているかのように、異なる性感帯で全く違う動きをしていた。
そしてとうとう、男の指先が恵の腟に進入してきた。
「あああっ!」
男は人差指を第一関節まで恵の膣に挿入し、腟口を広げるように円を描く。しかし、指はそれ以上深くは潜らず、螺旋を描きながら徐々に引き抜かれ、穴の入り口付近までくるとそこで周回を始めた。
乳房、クリトリス、腟口と腟浅部。
それぞれがランダムに間断なく刺激される。
男の愛撫は粗雑さの欠片もなく、繊細で優しく、そして巧妙だった。
「あん…んっ…ああっ…あ…」
それは言い訳のしようもない、明らかな快感による喘ぎ声だ。
恵自身分かってはいるが、全く止められない。間断なく襲い来る快感の波に、今にも転覆し沈んでいってしまいそうだ。
恵の腟口からは、透明な愛液が溢れ出し、男の手を濡らしていた。肌には汗がにじみ、呼吸は速くなっていく。
男の執拗な愛撫により、恵は次第に何も考えられなくなっていった。
“とうとう恥ずかしげもなく、ブヒブヒ鳴き始めたか。”
男は恵の堕ちゆく様を楽しんでいた。
今や恵は壊れた蓄音機のように喘ぎ鳴いている。その声は恋人にしか聞かせたことがないものだ。
“このセックスでお前の貞操は完全に失われる。後に残るのは誰にでも股を開くメス豚だよ。”
男は、楽器を弾くように恵を鳴らし続ける。その音は次第に高く大きくなっていった。
そして訪れる終局の時。
男は、すでに臨界に達しようとしている恵の性感にとどめを刺すべく、両手と舌の動きを徐々に速めていった。
快感の波はその波高を上げ、つながり、一つの巨大なうねりとなって恵に押し寄せる。
「あっ、あっ、あっ…」
限界まで膨れあがって今にも破裂しそうな性感に怯え鳴く恵。
「あぁ、ああ…ああああぁぁ」
男は、左手で乳首を肋骨に押しつけ回しながら、舌を尖らせ、その尖端で恵の肉芽を鋭く舐め上げた。
「あっ!ああああああっっ…!!!!」
途轍もない絶頂が恵を襲った。
眉間に皺を寄せ、身体をエビ反り、両足を限界まで突っ張る。
二度三度と訪れるオーガズムに、恵の身体はビクビクと震えた。
恵はイッた。誘拐犯の手で。