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LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

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6.幽囚-2

「ふふっ。つ〜いたっ」
 男はセカンドバッグから鍵を取り出すと、ドアノブに差し込みながら、これまで以上に気色悪い声で言った。
「……こんなキッタナイとこ、良く住んでるね」
 壁は薄汚れヒビが入っている。銅線が剥き出しの電気メータにも、ホコリなのかドロなのか分からない汚れが、表示計が読み取れないほど堆積している。ある意味男の風体に相応しいアパートだったが、奢りでも何でもなく、到底自分のような女が来るような場所ではない。
「くくっ……、まあ、安いからね。家賃」
 ドアを開けると、すぐに台所であるのが見えた。その奥はガラス戸が閉まっていて、電気が消えているので部屋の中の様子を見ることはできなかった。汚いスニーカーを脱いで先に玄関先に上がった男が振り返る。一段高い玄関先に昇ると、さすがに男のほうが悠花よりも高くなり見下ろされる格好になった。
「さ、悠花ちゃん。入っておいで?」
「……」
 そう言われても足が動かなかった。ここに入れば二人きりになってしまう。トイレやタクシーとはわけが違う。
 ここはこの男の「本拠地」だ。街中から、ホームグラウンドにやってきたことで、男はより一層話し方や声音が変態的で気色悪いものになっている。これまでは周囲の目が気になったが、二人きりなれば何があっても、助けを求める相手はいなくなる……。
 そんな男と二人きりになるために踏み出す決心など、おいそれとできるものではなかった。
「どおしたのぉ?」
 そう言いながらも、村本は悠花の心中が面白いほど分かっていた。
 瀬尾悠花はこんな薄汚いアパートの廊下であっても、自然と姿が引き立つような足位置で立ち、腕組みをしてこちらを睨んでいる。見ているだけでもたまらなかった。
「ほら、入るんだよ? 悠花ちゃんの足で、悠花ちゃんの意思で、この部屋に入って二人きりになるんだ」
「誰が――」
 誰が二人っきりになんてなるものか。しかし、それを拒絶すれば男の要求を果たすことはできない。それはわかっているが、自らそれを認め、男の方へ歩みを向けるなど、ここへきて悠花の人気モデルとしてのプライドが邪魔をしてきた。
 すると男はニヤッと笑い……、玄関先でベルトを緩め始める。男の体はすでに屋内に入っているが、悠花はまだ廊下におり、しかもドアが全開なのだ。
「……! 何してんの!?」
 悠花の声にもおかまいなしに、男は前を広げると、腰に手をやりチノパンと白ブリーフを、一気に足首まで下ろした。身を起こすと、勃起した男茎が腹にくっつくくらいになりながら揺れている。そこに装着されたコンドームには、あれだけチノパンにシミを作るほど流れ出たにも関わらず、先端にはまだ白い膨らみが確認できるほどの量が残っていた。
「さっき出してから、ずっとこうだったからさぁ。ヌチャヌチャして気持ち悪かったんだよね。……ねぇ、見て見て」
 悠花の鼻先にも特有の生臭さが薄く漂ってきて、思わず組んでいた手を崩し鼻口を覆った。その目の前で、男は精液溜まりごとコンドームの先をつまんで上に引っ張り始める。コンドームのゴムを伸び切らせて引っ張ると、勃起した男茎の根元から剥がれるようにズレていった。そして亀頭で引っかかったところで、更に力を加えると、パチンッ、と音がしてコンドームが男茎から外れると同時に、先端を持っていたせいで中に入っていた精液がボタボタッと台所の床に落ちた。
 ――悠花は途中から目を逸らしたために一部始終を見ることはできなかった。
(やっぱり、ムリ……! こんなヤツ)
 ドアが開いているにもかかわらず局部を露出し、使用済みコンドームを外している様を見せつけてくるような男が、自分を中へ導き入れとしているのだ。
 走って逃げ出そうか――、ここまでして「モデル・瀬尾悠花」という肩書にしがみつかなければならないのか。
 悠花に、そんな思いが頭をよぎった矢先、
「ほら、悠花ちゃん、忘れてないよね? 写真っ。約束通り、俺の言うとおりになったら、悠花ちゃんのこのヒミツは守られるんだよ。ファンからも……」村本は、一呼吸置いて言った。「……彼氏からもね」


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