家庭教師、純一-2
純一は田舎にしてはきれいにしているこの奥さんが好きだった。前から話をしたいと思っていたが、息子の前では長く話もできなかったのでいい機会なので気分がよかった。
「ごめんね、意地悪なことを訊いて、でも私も結婚した頃には聞かれてたのかもね。木造の昔ながらの家が多いでしょ、夫から聞いたけど、新婚さんの所にはね夜、時間を見計らって、若い衆が集って来ることがあるんだって、なかには学生さんもいるらしいわ。」
レイカは話に紛れてにじり寄って純一の目を不審そうな目で覗き込んだ。
フワリといい良い匂いが鼻孔をくすぐった
「僕は他のところまで出張したことはないですよ。」
「冗談よ。ところで、高梨山の古いお城に行ったことある?」
「一度、行きたいとは思っているんですが、自転車しか持ってなくて。」
「じゃあ、行きましょうよ。観光地の一つなんだから見て損はないわ。」
「いいんですか? お家の人に悪いんじゃ、、。」
「あれっ、2人っきりで行くつもりになってるんだ?」
「、、、、じゃなかったんですか、、。」
「どうしようかな、、。あなたが頼むのだったらそうしないこともないけど。」
「お願いします。なんでもしますから、、。」
「わかったわ、でも変なことしちゃだめよ。」
「ハイ、“いい事“します。」
「は、は、は、は、、何言ってんのー。」
純一は30分も経たないうちにこんなに打ち解けるなんて思わなかった。
明るくて気立てのいい女性だった。スタイルもよかった。
『女性の服装、目つき、言葉のニュアンス』を先輩から注意するように聞かされていた。また、『自分が好かれる為の表情、会話』についても就職活動のために少しは研究していた。でも実践を積む必要があった。
車のヘッドライトが近づいてくるのがレイカにみえた。