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LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

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5.姿は作り物-5

「それにしても……、助かったよ。近くにここがあって」
 ブラウスのボタンを外し始めると、カーテンの向こうから村本の声が聞こえ始めた。
「どぉしちゃったんですかぁ?」
 店員と世間話を始めたようだ。
「いやね、今日対談があるんだ、雑誌のね。……キミ、知ってる? 『Miyacostyle』の社長。岡部宮子って人」
「ええ、もちろん知ってますよぉ。有名なかたですよねぇ」
「うん、まあ、この世界じゃ結構な実力者なんだよね、岡部さん。その人との対談なんだけど、ちょっとスタイリストの手配をミスっちゃってねぇ……。ほら、ファッションデザインの社長の前に出るのに、そのブランド着てないってありえないから」
「あー、そういうことだったんですかぁ〜。やっぱりそういうとこ、厳しいんですねぇ」
「ま、くだらないことで目をつけられたくないからね」 
 勝手なことを言っている。ブラウスを脱ぎ替え、スキニージーンズを長い脚から抜き取りながら思った。
 岡部宮子には一度だけ会ったことがあったが、人当たりの軟かい、モデル思いの感じのいい人だった。自ブランドを相手が着ていないからといって腹を立てるような人ではない。そんな人のことを悪く言うなんて。
 しかし、これだけ嘘八百がスラスラと出てくるということは、この店に立ち寄ることは男にとって織り込み済みであったことらしい。出かける前に視姦対策とお洒落感覚を秤にかけ、色々考えた末のコーディネイトなのに、その苦労を水の泡にされた腹立たしさの方が強く募ってきた。
(……!)
 苛立っていたから身に付けるまで実感がなかった。上半身を起こして鏡を見ると、やはりスカートはかなり短い。マイクロミニとまではいかないが、丈は股下数センチ程度で、悠花の太ももは半分以上が露出する格好になった。
 こんな姿であの男の前に出る。しかもこれは、あの男好みの服装だ。その屈辱感は、一般人ならばともかくプロモデルとしては尚更強く、なかなか悠花にカーテンを開けさせなかった。
「……どぉですかぁ? サイズ、大丈夫そうですぅ?」
 あまりに躊躇の時間が長すぎて、外から店員が呼びかけてきた。覚悟するしかなかった。
「……うわっ、チョ〜キレ〜。やっぱ違いますねっ!」
 カーテンが開いて姿を現した悠花を見て、大袈裟とも言えない素直な感想で店員が囃した。その後方、店員に見えないところで、男が膝と腰を震わせているのが見えた。
 村本は期待以上のミニスカート姿に、再びチノパンの中で大量の透明液を漏らした。
 その気色悪い表情から何となく男のズボンの中で何が起こっているか感じられて、思わず悠花は声に出ない唇だけの動きで「キモ」と呟いてしまった。店員は目の前で悠花が何を言ったかは聞き取れなかったので、内心キョトンとしながら、
「大丈夫そうですかね――」
 と、前後の様子を確認してくる。
 村本は目の前に現れた悠花の姿に、一瞬ここが店であることも、店員がいることも忘れて見とれていた。やはり憧れの瀬尾悠花は完璧だった。身長は一般女性よりは高く、脚が長い上に小尻であるため、全体をスラリとスレンダーに見せる。しかし太ももは思ったより健康的に肉づいていて、タイト気味のデニムミニの裾が曲線美に沿うように、より美しく、悩ましくその下腹部を見せている。『La Moda』ではフェミニン系統の衣装が多い悠花だが、さすがは人気モデル、一流モデルだけあって、こういったスタイルも難なく着こなし、並大抵のお姉ギャルでは到底太刀打ちできないほどのビジュアルを呈している。
「うん、こんな感じですかねぇ。これなら履いて来られたニーハイとかでも合いそうですし」
 と、店員に振り返られて我に返った。
「……あ、ああ、うん。良さそうだね」
 言ってから、村本は、ふと思いついた。


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