焔と氷-1
第一章
焔と大地と氷
行ってきま〜す。
響き通るような声に水色の制服に身を包んでぃる。彼女北原水穂(きたはら みずほ)だ。
彼女は近くの高校に通っている高校ニ年生、いつもと変わりなく学校に向かっている。
学校に近づいてきた頃、
「オッス」
と声を掛けられながら頭に手を置かれ少し赤みがかった髪をクシャクシャされた。水穂は少し溜め息を吐きながら左上を見上げる。
そこには、髪を金色にして悪戯っぽく笑っている男がいる。彼、山吹 焔(やまぶき ほむら)である。
「焔〜ぁ」
水穂が少し怒り気味で名前を呼ぶ。
ヤバィ…心の中で思った焔は
「ここは逃げるべきだな」
と行動に移そうとしたが、遅かった…
「バコッ…」
鈍い音が焔の頭の中に響いた。鞄で頭を振り抜いていたのだ。
「痛ってぇ〜」
と言いながら蹲っている焔が恐る恐るチラッと水穂の方を見上げる。そこにいた水穂は満足そうに
「おはよう」
と笑いながらそそくさとその場を後にする。
水穂は自分の教室にはいり椅子に座って一段落しているとその後に、焔が頭を擦りながら入ってきた。水穂とは同じクラスなのだ。水穂はこの学校ではアイドル的な存在で友達からも慕われている。
一方焔の方は、この学校以外にも周りにある高校の不良達に恐れられるほどの男なのだが…
水穂にだけは頭が上がらない。
「水穂〜」
と焔が頭を擦りながら水穂に近寄ってくる。
「何よ」
そっけなく水穂が言う。
「学校終わったら遊び行こうぜ」
と誘う焔。 少し考えながら
「しょおがないわねぇ」
と水穂は微笑する。
「よし、じゃぁ決まりだな。放課後学校の外で待ってるょ」
焔は嬉しそぅに言うと教室から出て行ってしまった。
水穂はまったく、といった表情で外を眺めていた。
昼頃、その頃焔はというと…ゲームセンターで同じような仲間達とはしゃいでいた。
と、その内の一人焔と大親友の土樹 龍弥(つちき りゅうや)がある話を切り出した。
「焔、最近この辺りによく出没してる奴の話しお前知ってるか?」
龍弥は真剣な顔で聞いてきた。焔は少し驚いたがすぐさま返事をした。
「あぁ、知ってる。」
だが焔はそれが?というよぅな顔をして龍弥を見る。そいつは何故か高校生ばかり狙っている通り魔風な奴らしいのだが…
龍弥は「能力者」なのだ。