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LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

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4.無知の罪、知の虚空-6

「それは、こういうことじゃないって。だから、もう。本気で、あたま悪い?」
 もちろん、周囲の目がある場所では言いたくない、という意味だった。それは当たっている。しかしそれは、どこか――、場所を移して二人きりになった状況を想定していた。
「お、お、俺は悠花ちゃんが、い、言ったとおりに、してあげただけだよぉ。は、悠花ちゃんのために、こ、こうやって、き、危険なのに、女子便にも入ってあげたんだから」
 男の恩着せがましい言い方に、座ったまま向こう脛を蹴飛ばしてやりたくなるのを堪えて、
「……で? 何を言ってほしいんだっけ?」
 と、男が差し出しているスマホに目を向けた。
 馬鹿なセリフを考えるものだ。こんなことを言わせたところで、自分が服従なんてするわけがない。女に慣れていない、モテない男の妄想とも言える支配欲。言ったところで、自分がどうにかなってしまうわけでもない――
 なるべく素っ気無く言ってやろうと、スマホから再度目を正面の男に向けると、男は少し脚を開き気味に立ち、チノパンの股間に指を添えていた。何のつもりか俄かに飲み込めなかったが、ジッパーの引き手を摘んだ指を下ろそうとしているのが分かると、
「ちょっとっ! ここではやめて!」
 と、当然、大きな声が出た。
「……だ、だめだよぉ、そ、そんな大声だしたらぁ。そ、外に聞こえちゃうじゃん?」
「……!」
 トイレに入る前、女性客は悠花以外はいなかった。女子トイレが空くのを待っている者はいないはず……。だがこうしている間にも女性客は来ているかもしれないし、向かい側の男子トイレに人がいるかもしれない。
 息まで止めて、しばらく外の様子を伺ったが、静かで近くに人の気配がなさそうなことに安堵した。
「こんなところじゃ、絶対しない、から。やめてくれる?」
 小声に戻して正面の男に抗議する。しかしチノパンのジッパーが全開では、その光景を視界に入れることは憚られて、斜め下方を見るように視線は逸らしていた。
「さ、さすがにぃ、こ、こんなところで……」
 さらに声を顰め、「エ、エ、エッチさせるわけじゃないよぉ。あはっ……」
 漏れなくキモ笑いを付してくる男に、悪寒を感じながらも、やはり見上げることはできず、
「じゃ、何なの? 早くしまってくれる?」
「……し、しないけどぉ。も、もう、俺、ガマンできなくて、さ? は、悠花ちゃ、んに、き、危害は加えない、からぁ……、い、い、一回ヌカせて?」
 頭上から悍ましい言葉が聞こえてきた。
「いや」
 即座に口を突いて出ていた。
「く、くく……。だ、だってぇ、悠花ちゃんが、ふ、『二人きりのところで』って、ワ、ワガママ言ったのを、こ、こっちは、呑んであげてる、んだよぉ? 目の前で、ヌ、ヌ、ヌカせてくれてもいいじゃん?」
「何言ってんの? そんなのそっちが勝手にしたことでしょ?」
 村本は悠花が抗議中にもかかわらず、チノパンのジッパーを大きく開き、白ブリーフの窓に注意深く指を入れた。
(もう限界だ……。溜めてたのをここで、出す! エッチじゃなくたっていいっ! あ、憧れの悠花ちゃんの前で。悠花ちゃんに見られながら……!)
 憧れの悠花は1メートルもないすぐ前にいる。その前で、悠花に対する思いが充満して破裂しそうになっている男茎を晒し出すのだ。そう思うと、ちょっとした刺激でも崩壊しそうになる男茎を、なるべく擦れないように、ゆっくりと取り出す必要が会あった。
 目線を逸らしている悠花は、すぐ前の男の気配で、何をしているのかが分かった。この自分の前で汚らしいモノを晒そうとしている。これまで卑劣さのせいで憎らしい思いが強かったが、こんな場所で陰部を晒すなどという変態性への軽蔑感も高まってきた。
 あのカラオケボックスでの肥満男と同じだ。オタクのモテない男の変態性癖は、何故にここまで最低最悪なのだろう。
「さ、さぁ……。は、悠花ちゃん、こ、こっち向いて?」
「イヤよ」
「ほらぁ……、み、見て? 今日、い、一日、悠花ちゃんと、『仲良くする』んだ、からぁ。コ、コレと」
「絶対イヤだって」
「ふふっ……。ふふふっ……」
 急に頭上から、気のふれたような笑い声が聞こえた。


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