後悔-1
「あっ!オジサン、その一番端っこのたい焼きにして」
通りにあるたい焼きやで、帰宅間際、突然食べたくなった彼女がその店に駆け寄り
知り合いでも無い店主と、親しく会話をし、時より笑い声が響き渡り。
彼女はそうやって、誰とでも、人見知りをする事無く、気軽に色んな人に声を掛け
それは、地味で寂しい大地に、妖精でも舞ってそうな美しい花壇を置いた様な感じで。
それに引き換え僕何かは、そういった事何てまるで出来ない。時より家族で外食に行く時
僕が注文を言うと、店員が聞き取れず、酷い時は見かねた隣に居た母が代わりにはつらつに言って、すんなり理解した様子で去っていく。普段あまり人と会話をしないからこういう時に、ツケが回ってくる。
だからこんな時、彼女が羨ましくも感じる、とは言えそれだけであって別に直そうとか
考えちゃいないけど…。
「んっ!」
たい焼きを受けとって、直ぐに口に加えつつ、僕にも当然の様に片手で同じのを渡して来て、不意を突かれつつも何故か両手で受け取る僕。
彼女と肩を並べ、無意識に目に映る真っ赤な茜色の夕日
「はぁーあ、明日も晴れかぁ…、ん良い事良い事♪」
無意識に首を上げ、口もポッカリと開け両腕をパタパタさせ、思考もだれをする。
その姿は誰にも分かる様に、何も考えちゃいないのが伺える。
僕はそんな彼女が好きだった、子供の様に無邪気で嘘や隠し事が物凄く似合わない
そんな太陽の様な彼女が…。
だからこれからもそんな明るい彼女で居て欲しかった…
だけど、そんな僕の大好きな彼女を、僕自身の手で潰してしまった。