ラクシュさんがアーウェンくんに、イけないことをしていまーす-4
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ようやく落ち着いた頃には、浴槽の湯もさすがにすっかり冷めてしまっており、魔道具で暖めなおして一緒に浸かった。
心地いい湯の中で、膝の上にラクシュを大切に抱える。
「……本当はずっと前から、ラクシュさんと、一緒に入りたかったんですよ」
少し照れくさかったが、この際だからきちんと白状した。
「ふぅん?」
ラクシュが驚いたように、少しだけ胡乱な眼を見開く。
「これからも、こうして一緒に入ってくれますか?」
尋ねると、ラクシュは少し考え込むように黙った。
そして、うんうんと重々しく頷く。
「ん。きみが、そうしたいなら……私、がんばるよ」
腹をくくったと言わんばかりの、決意溢れる様子に、アーウェンはヒクリと顔をひきつらせた。
「念のために入っておきますが……俺は、普通の入浴を一緒にしたいと言ったんですよ?」
「え?」
「緊縛は無しでお願いします!!」
キョトンと小首をかしげるラクシュに、危ないところだったと、盛大な冷や汗をかいた。
ラクシュの媚態は魅力的だったが、あんな苦しい生殺しは、もうごめん被りたい。
「そっか……ん」
ラクシュが頷く。
その口元は、ほんのわずか……よくよく見なければ気づかないほど少しだけ、嬉しそうにほころんでいた。
終