○○は、ごはんに入りますか?-5
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二人で交代に風呂を済ませると、もうじき夜明けという時間になってしまった。
ラクシュの天気予報によれば、朝からずっと曇りで昼頃から雨が降るそうだ。
アーウェンのは寝室のカーテンを閉め、寝台に座る。いつも寝る特と同じ、上を脱いでズボンだけの姿だ。
ただし今は、広げた足の間にラクシュがちょこんと座り込んでいた。黒いローブではなく、前を木のボタンで留めた、膝丈の白いネグリジェを着ている。
そしてなぜか……白いソックスを履いていた。
(ラクシュさん、真っ白だな……)
床に膝をついているラクシュを眺め、アーウェンはゴクリと唾を飲む。
白い髪に肌も白く瞳だけが赤いラクシュは、真っ白な兎のように見えた。いつもの黒いローブも好きだが、この白い夜着姿も綺麗で見惚れる。
ラクシュの白い両手に握られた男性器は、すでにしっかり反応していた。無理しなくていいと言いながら、露骨に期待してしまっているようで、気まずくてたまらない。
―― 1度でいいから、ラクシュさんにもこの羞恥を味わってもらいたいですよ!!
半ば自棄になり、アーウェンは握り締めていた両手を開いて、ラクシュの髪を撫でた。
「じゃぁ……してくれますか?」
「ん」
ラクシュの薄く開いた唇から桃色の舌がチロリと覗き、かもしだす壮絶な色気に、うなじの毛が逆立った。
先端にぬめる暖かい舌が触れ、亀頭を咥えられると、想像以上の快楽が背筋を駆ける。
「っは……」
慌てて息を飲み、歯を喰いしばった。
ひんやりした手指からは想像もつかないほど口内は熱く、含まれて舌で懸命に愛撫されると、あまりの愉悦に目の前がチカチカした。
前の飼い主は、情婦によく口淫奉仕をさせていたが、男が一方的に楽しんで、喉奥まで性器を突っ込まれる女は苦しそうだった。
出したものを飲めと命じられ、えづいて懸命に飲み干す姿も、苦痛そうにしか見えなかった。
あんな風にするのを、自分が楽しめるとは思えない。
せっかくラクシュを抱くなら、思い切り気持ちよくなって欲しい。
綺麗な赤い瞳を蕩けさせて、アーウェンにすがり付いて、いつもは抑揚のない声が甘く掠れた嬌声になるまで溺れさせたいのに、自分のほうが溺れそうになる。
「あ……っ、苦しかったら……やめてくださいね……」
必死で囁くと、ラクシュが咥えたまま、アーウェンを見上げた。
小さな口に含むには、人狼の性器は大きすぎて辛そうだ。
「ん……ぅ」
白い頬が淡い桜色に染まっている。目じりにも赤みがさし、赤い瞳がわずかに潤んでいた。
「らく……っ」
頭から爪先まで、ゾクリとした感覚が走った。
―― あ、ヤバイ。
そう感じた時には遅かった。
アーウェンは雪色の髪を両手で掴み、そのまま乱暴に動かしていた。意志とは無関係に、獣のように本能的に、身勝手な快楽を求める。
「ん!? ぐっ、ぅ……っ!?」
「っぁ……はぁ、あ、すいませんっ……俺、酷……っ!」
虹彩の浮ぶ瞳をギラつかせ、呻いた。
無理やりに頭を上下させるたびに、唾液の水音に混ざり、ラクシュの苦しげな声がたつ。
こんな乱暴な扱いを止めたいと、心底から思うのに止まらない。
人狼がうっかり他種族を愛すると、その凶暴さゆえに相手を壊してしまうケースが多いと聞く。
自分はラクシュを大事に思っているから大丈夫などと、とんだ自惚れだった。
「はぁ……ラクシュさんを……俺だけのに、したい……全部欲しい……」
人狼に比べれば、たいていの他種族は脆弱で簡単に死ぬ。
それならいっそ、自分の手で壊して、血肉も骨までも全て喰らって、全部を奪い取り手に入れてしまえば……。
壊し尽くしてしまえば、永遠に自分だけのものに出来るじゃないかと、脳裏で本能が囁きかける。
固い性器を狭い喉の奥にまで無理やり捻じ込み、何度も乱暴に突き上げた。