全裸、ダメ、絶対-4
***
気がつくと、ラクシュは変身したまま眠っているアーウェンに、しっかり抱きしめらていた。
裸身は体液でベトベトし、身を捩ると大量に流し込まれたものがドロリと零れ出る。
「ん……」
視線を動かすと、無残に引きちぎられたローブと下着が見えた。
これはさすがに叱らなくてはいけないと思いつつ、続けて足元に視線を動かすと……靴下だけは無事に履いていた。
「ん……」
やっぱりそうか……と、ラクシュはアーウェンに対する情報を改めた。
アーウェンはラクシュの身体を嫌いではないらしい。でも……
―― 全裸、ダメ、絶対。
終
**** おまけ ****
「ん」
ラクシュの指先が、ビリッビリのボロ雑巾と化したローブを指差した。
「……アーウェン」
静かに呼ぶと、アーウェンがビクッと肩を震わせる。
「は、はいっ」
ちなみに二人は、ベッドの上で向かい合って正座していた。
二人とも裸……いや、ラクシュはちゃんと靴下を履いているから、全裸ではない。
「……」
すうっと、ラクシュは深く息を吸う。
アーウェンはしっかり者の良い子だから、幸か不幸か、今まで彼を叱ったことがなかった。
でも、これはさすがに叱らなくてはならない。
「めっ」
オリーブ色の前髪を、ペチっと軽くはたいた。
「……へ?」
アーウェンは大きく目を見開き、驚愕の顔をしている。
初めて怒られ、さぞショックを受けているのだと思うが、ラクシュも今日ばかりは厳しくするつもりだった。
「次、やったら、私……もっと、叱る……アーウェンの、困ること、する」
自分の靴下を、「ん」と指差した。
「……これも、脱ぐ。……それでアーウェンに、私と、一緒に……お風呂、はいらせる」
「な、な……」
アーウェンはプルプル震えていた。
これに懲りたら反省するように。と、ラクシュが頷いていると、いきなりガバっと抱きしめられた。
「ラクシュさああん!! お願いです!! もっと叱ってください!!」
「……ん?」
*ラクシュさん、狼の躾に失敗。