それぞれの道2-8
「いって!! 何すんだよ!」
「うるさい! 何であんたはそんな変なこと言ってんのよ!」
「何だよ、オレはただ“お兄さん”として久留米くんにアドバイスをしてただけだろうがよ」
「何でお兄さんになんのよ、あんたは久留米さんより年下なのに」
「あー、そう言う意味じゃなくて、オレと久留米くんはお前を通して兄弟になるって意味だ。
穴兄弟って言葉、聞いたことあるだ……」
あたしは塁の言葉を最後まで聞かないまま、再び奴の足にピンヒール攻撃をお見舞いした。
「……ってぇぇぇ!!」
塁はたまらずに革靴を掴んで片足でピョンピョン跳ね出す。
痛がる塁をフンと鼻であしらって、あたしは久留米さんの方に駆け寄った。
「久留米さん、コイツの言うことなんて信じちゃだめですからね!」
そう言って久留米さんの腕を掴むけど、彼はあたしの話なんて全く聞いてないようで、相変わらず身体を震わせながら、
「ご期待に添えるように努力します」
なんて、ニヤついた顔をあたしに向けた。
「なっ……!」
即座に赤くなるあたし。
ってか、久留米さんってこんなキャラだったわけ!?
呆気に取られて久留米さんを見ていると、彼はまた塁と目を合わせてから盛大に笑い出した。