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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの道2-12

「塁、また彼女と喧嘩でもしたの?」


呆れ顔で塁を見ると、奴はニヤニヤしながら首を横に振った。


「いいや、うまくいきすぎて怖いくらい」


「だろうな、こんなどうしようもねえ男についてこれるのはあの娘くらいだわ」


「いやあ、オレもそう思う」


久留米さんの皮肉も皮肉と捉えていないのか、塁は舌を出して頭の後ろを掻くだけ。


塁の彼女の梓ちゃんは、以前レンタルビデオ屋で見かけた塁と手を繋いでいたあの娘のことで、一旦別れたものの結局元サヤに戻ったのだ。


あたしが塁から離れたことで、あたしを繋ぎ止めておきたかった塁から別れを告げられたけど、辛抱強くコイツを想って最後の最後でやり直すことになった。


梓ちゃんの想いの深さに塁が気付いて、今ではとても仲良しカップルらしい。


「だったら、人の女口説いてねえでもっと大事にしてやれよ」


「大事にしてるって。だから明後日から旅行する予定……って、ああそうだ」


何かを思い出したように、塁はポンと手を叩いて再びあたしに向き直った。




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