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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの道2-11

ニコニコ笑う塁の表情が胡散臭すぎてついつい身構えてしまう。


そもそも塁のお願いなんてろくなもんじゃないんだから。


それを久留米さんも察していたせいか、食べ終えたお弁当を脇に置いて塁をジッと見つめている。


「玲香、久しぶりにヤらせ……」


最後まで言い終わらないうちに、久留米さんが塁の背中をドンと蹴った。


「痛えって! 冗談なのにムキになってんじゃねえよ!」


「お前の冗談は笑えねえんだよ」


久留米さんの呆れ顔につられて、あたしもついついひきつった笑みを浮かべる。


でも、塁は口ではしょっちゅう“ヤらせて”なんてお願いしてくるけど、それを実行してくるような真似は一切しなかった。


塁にとってこの冗談は、久留米さんをからかうための前フリみたいなもので、結局こうやって久留米さんとじゃれ合うのが楽しいんだろう。


あたしもあたしで、久留米さんに拳骨振り落とされたり、蹴られたりしても、最後は二人してバカ笑いしている光景を眺めるのがなんだかんだで好きだったりするのだ。








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