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命令チップ04
【SF その他小説】

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一時の休息-2


そして10分もしないうちにドアを叩く音が聞こえる。

「はい」

もう来たのか、早すぎる。

扉を開けると彼女が立っていた。

「はい、これ」

「もう読んだんですか?」

「読んでいないけど、沢山あるので1冊ずつ持っていくなら一緒に見たほうが早いかなって」

「かなって?」

「つまり、おじゃましてもいいですか?」

キターーーー!

掃除してよかったー!

「あ、どうぞどうぞ、マットブースだから座って下さい」

「お邪魔しまーす、あ、インターネット、何みてたんですか?」

嬉しそうに覗きこむ彼女は、IT文化の情報を表示しているPCを見て

「へぇ〜マン喫でこんなのを見るなんて真面目な方なんですね」

「え〜 たまたまです」

興味ないのに表示していて助かった

彼女はスーツのまま床に座った

「あの、名前なんて言うんですか?」

「私、美優といいます」

「美優さんですか、僕は幹夫です」

「うん、よろしく」

最初は緊張して何言っているか覚えていないが、

次第に自然に喋れるようになった。

会話が楽しくて盛り上がってくると、

隣の部屋から大きな咳払いが聞こえて、

慌てて小声になり顔を近づけて話す。


美優は、美人なのに僕よりオタクで面白い人だ。

しかも古いアニメの時代背景まで語るほどガッツリ系だった。

楽しくて夜まで彼女とオタク話しに花を咲かせていたら、

美優が眠くなってお開きになった

「部屋に戻るね」

「うん、またね」

出ていこうとする美優は振り向き、

「あ、そうだ、これ」

ポケットからキーフォルダーを取り出す。

歩道の信号機みたいなおもちゃだ。

「これ、お守りだよ、あげるね」

「はぁ、ありがとう」

「ふふ、友達の証だよ、ガチャの景品だけどね」

「そうか、大切にするよ」

赤と青のボタンを押したらライトがついた

「ガチャの景品だな」

「ふふ、じゃあ、またね」

手を小さく振って出て行った。

廊下を歩く美優が部屋に戻りドアを閉めた音が聞こえる。

「ああ、すごく楽しかった。」

明日の朝、会ったら”おはよう”を言おう、

まだ泊まるなら明日も話したいな

僕は、幸せのまま眠りについた。


次の日、

いつもの時間にドリンクを取りに行く。

美優の部屋を眺めてドアが開かないか様子を見てた。

いつ出てくるか分からないから、少し待ってみる。

やがて3杯目のコーヒーを注いでいると後ろから

「おはよー」と美優の声がした。

振り返ると目が覚めるほどの美人だ。

「腕枕で寝たら、手しびれちゃった」

と言いながら手を振っている。

「へぇ〜どれどれ?」

「きゃ、今触らないでよ、ドア開けるのに苦労したんだから」

「それなら、なおさらだよ〜」

「キャー痛い 痛い」

しびれた手を隠し逃げる美優

ものすごく楽しい

「もう、しびれないよ」と差し出す手を

「本当かよ」と言いながら握ってみる。

「全然大丈夫だよ」

「なぁ〜んだ、つまらん」

美優の手は細いのに柔らかかった。

笑顔の美優は

「コーヒー飲む?」と聞いてきたが、

「もう、飲んだよ」と答えた

「そっか」美優はブレンドのボタンを押す

「あ、あのさ、今日も部屋に来てオバカな話しない?」

「うん、いいけど、どうしよう」

「何が?」

「昨日話した少女マンガを読破しようと思ってるんだ」ガッツポーズ

「あ、はは、そうか言ってたね」

「幹夫は興味ないって言ってたから……どうする? 一緒に読む?」

「暇だったからどうかな、と誘ったんだけど、今日はやめとくよ」

「そう? じゃあ読破したら遊びに行ってもいいかな?」

目が光っていて可愛い

「あ、うんうん、ついでに感想きかせてよ」

「うん、ズバッと評論するよ」

「美優の評価は厳しいもんね、楽しみだな」

あとで来てもらえるよ

「そういえば、昨日あげた友情の証は持ってる?」

「うん、ほらズボンにつけてるよ」

後ろのベルト止めに信号機がぶら下がっているのを見せた

「うん、よしよし、赤が停止で青が歩けだからね」

「へ? ああ、信号機だからね、わかってるよ」

「大事にしてよ、すてたら友達じゃないからね」

「捨てるわけないだろ」

「よかった」

美優は笑顔のまま、少女マンガを鷲掴みして部屋に帰っていった。

片手一杯に本を持っていた。

「結構あったな、いつ読み終わるんだろ」



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