操る男-3
今度は全員が殴る格好で見る。
「うそだろ、やばいぞ うわあ!」
後ろから蹴られて前のキャストに倒れ、押し倒す。
慌てて振り向くと、黒服が腕を振り上げている。
「わぁ!」急いでテーブルの下に逃げた、
キャストのお腹に拳が降ろされ、くの字型にのけぞったキャストは無表情だった。
「やばい、やばいよ」
テーブルの反対側から出て人の隙間を通り抜ける
皆同じ動きをするので異様な光景だけど隙が多い
「おいおい、逃げるなよ」
操られている皆は、襲った先に何があっても気にしていない
「掴まったらヤバイ!」
それでも奇跡的によける僕は出口に向かった。
「そっちはダメだよ〜」
入り口を封鎖していた男達が振り返り待ち構える。
「わぁ、だめだ」
踵を返して調理場に向かいドアを開けると、先輩が包丁を持って立っていた。
「ああ、先輩それはやばいです」
篠原先輩は包丁を振り回しすぎて、床の油で転んだ、
その隙に裏口のドアを開け脱出する。
すると、
外にいたサラリーマンが両手を広げ、
「行かせないよ」と近づいてきた
「ちくしょう!」
そばの非常階段を駆け上がった。
「おいおい、頑張るじゃね〜か」
店の人達が追っかけてくるが、狭い非常階段なので階段からあふれた人が落ちていく。
「なんてことするんだ」
落ちた人たちは動かない。
4階建てのビルを駆け上り、屋上まで来てしまった。
周りには逃げ場がない。
「どうしよう 逃げられない」
振り返ると皆が上がってきた。
「もうだめだ殺される!」
僕はとっさに、膝をついて懇願した、
「まって、まってくれ!」
店の皆が襲いかかる寸前で、止まった。
その間を割って痩せた男が来た
「何故お前だけ操れない」
「ぼ、僕は送信側の人間なんだ」
とゆうと男の目が座る
「なんだと、俺と同じだと言うのか? だったらこいつらを操ってみせろ」
みんなが僕を睨んでいる。
でも僕の命令チップの力は失ってしまったのだ、動かしようがない
「……今は、できない」
「なんだそれ、そんな言い訳通用すると思うか」
「本当なんだよ」
「お前の存在は認められない、粛清させてもらうよ」
男の鼻から血が垂れた
「あんた、血が出てるぞ」と指さすと、
怪訝な顔で拭いた手を見て驚いてる
「なんだこれ、お前がやったのか?」
「イヤ、たぶん大勢を操作したらから許容量オーバーだと思う」
男は何度も鼻をふき「なんだこれ、なんだこれ」と動揺しているようだ
そして僕をにらみ鼻血のついた手で僕を指し
「お前のせいだ、殺してやる」
「違うんだ、あんたのそれは神の力じゃない」
「あんたと言うな、俺は影山だ! それにこれは神の力だ」
「何を言ってる、力の使い方を間違ってるぞ」
「間違ってるのはお前の方だ、存在自体が間違っているだ」
興奮してる、逃げなきゃ、殺される!
後ろにダッシュした
すかさず影山の周りにいた人達が全力で追ってきた。
先頭の黒服が背中をタックルして、
よろけて屋上の金網により掛かると
次の男が勢いを止めずに体当たりしてくる
客やキャストまで塊になって僕を押しつぶしてきた。
「うぁあ 苦しい」
金網に押し付けられて意識がかすれていくと
突然金網が外れて倒れた、
足が宙を浮く。
僕達は4階屋上から雪崩の様に落ちてしまった。
影山が笑い声だけが聞こえた。